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June 2, 2016 Vol. 374 No. 22

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急性期治療におけるカテーテル関連尿路感染症を予防するためのプログラム
A Program to Prevent Catheter-Associated Urinary Tract Infection in Acute Care

S. Saint and Others

背景

カテーテル関連尿路感染症(UTI)は,院内で発生する頻度の高いデバイス関連感染症である.その予防には,適切なカテーテル使用,無菌的挿入,適正な管理といった技術的要因と,病棟における文化変容や行動変容といった社会的適応要因の 2 つが重要である.

方 法

米国医療品質研究調査機構の助成による全米規模の包括的病棟別安全プログラムの目的は,集中治療室(ICU)と ICU 以外で発生するカテーテル関連 UTI を減少させることであった.プログラムは,支援組織と病院への情報の普及,データ収集,カテーテル関連 UTI の予防に重要な技術的要因・社会的適応要因に関する指導を主な特色とした.カテーテル使用とカテーテル関連 UTI 発生率に関するデータを,ベースライン期間(3 ヵ月),導入期間(2 ヵ月),持続可能性期間(12 ヵ月)の 3 期間に収集した.多階層の負の二項回帰モデルを用いて,カテーテル使用とカテーテル関連 UTI 発生率を評価した.

結 果

米国の 32 州,コロンビア特別区,およびプエルトリコの 603 病院 926 病棟(ICU 以外 59.7%,ICU 40.3%)からデータを入手した.未補正のカテーテル関連 UTI 発生率は全体で,1,000 カテーテル・日あたり 2.82 件から 2.19 件に減少した.補正解析では,カテーテル関連 UTI 発生率は,1,000 カテーテル・日あたり 2.40 件から 2.05 件に減少した(発生率比 0.86,95%信頼区間 [CI] 0.76~0.96,P=0.009).ICU 以外でのカテーテル使用は,20.1%から 18.8%に低下し(発生率比 0.93,95% CI 0.90~0.96,P<0.001),カテーテル関連 UTI 発生率は,1,000 カテーテル・日あたり 2.28 件から 1.54 件に減少した(発生率比 0.68,95% CI 0.56~0.82,P<0.001).ICU では,カテーテル使用とカテーテル関連 UTI 発生率は大幅には変化しなかった.異質性の検定(ICU 対 ICU 以外)では,カテーテル使用(P=0.004),カテーテル関連 UTI 発生率(P=0.001)に有意差が認められた.

結 論

全米規模の予防プログラムは,ICU 以外でのカテーテル使用とカテーテル関連 UTI 発生率を減少させると考えられる.(米国医療品質研究調査機構から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 2111 - 9. )