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March 3, 2016 Vol. 374 No. 9

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35 歳以上の妊娠女性を対象とした分娩誘発に関する無作為化試験
Randomized Trial of Labor Induction in Women 35 Years of Age or Older

K.F. Walker and Others

背景

35 歳以上の女性では,35 歳未満の女性と比較して正産期の死産リスクが高い.35 歳以上の女性では分娩誘発によって死産リスクが低下する可能性があるが,帝王切開のリスクが上昇する可能性もある.この年齢群ではすでに帝王切開の頻度が高い.

方 法

35 歳以上の初妊婦を対象に無作為化比較試験を行った.妊娠女性を,妊娠 39 週 0 日から 39 週 6 日のあいだに分娩誘発を行う群と,待機的管理(すなわち自然陣痛が発来するまで,または誘発しなければならない医学的問題が発生するまで待機)を行う群に無作為に割り付けた.主要転帰は帝王切開とした.この試験は,死産に対する分娩誘発の影響を評価するようにはデザインされておらず,そのための検出力を有しなかった.

結 果

619 例を無作為化した.intention-to-treat 解析では,帝王切開が実施された女性の割合(分娩誘発群 304 例中 98 例 [32%],待機的管理群 314 例中 103 例 [33%];相対リスク 0.99;95%信頼区間 [CI] 0.87~1.14),鉗子・吸引分娩が行われた女性の割合(それぞれ 304 例中 115 例 [38%],314 例中 104 例 [33%];相対リスク 1.30;95% CI 0.96~1.77)に群間で有意差は認められなかった.母体・児の死亡はなく,母親の出産体験や,母体・新生児における有害転帰の発生率に群間で有意差は認められなかった.

結 論

高齢の妊娠女性では,妊娠 39 週で行う分娩誘発は,待機的管理と比較して,帝王切開率への有意な影響は認められず,母体・新生児の転帰への短期的な有害作用も認められなかった.(英国国立健康研究所の患者利益研究プログラムから研究助成を受けた.Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN11517275)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 813 - 22. )