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March 3, 2016 Vol. 374 No. 9

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テキサス州女性健康プログラムから家族計画連盟を排除したことによる影響
Effect of Removal of Planned Parenthood from the Texas Women’s Health Program

A.J. Stevenson and Others

背景

テキサス州は,家族計画連盟と提携しているクリニックが公費を使用してサービスを提供することを禁止している州の一つである.連邦政府が,テキサス州におけるメディケイドによる出来高払い方式の家族計画プログラムから家族計画連盟提携クリニックを排除することを認めないとした(および裁判所が阻止した)後,テキサス州は,2013 年 1 月 1 日付で家族計画連盟提携クリニックを州が出資する代替プログラムから排除した.今回の研究で,家族計画連盟の排除前後の避妊法の提供率,プログラムを介しての避妊法の継続率,メディケイドで補償される出産率を評価した.

方 法

プログラムにおける 2011~14 年のすべての請求データを用いて,家族計画連盟排除の前後 2 年間における避妊法別の請求件数の変化を検討した.ベースラインで注射避妊薬を使用していた女性を対象に,プログラムを介した避妊法の継続率と,メディケイドで補償される出産率を観察した.差分の差分法を用いて,家族計画連盟提携クリニックが存在する郡における転帰と,そのようなクリニックが存在しない郡における転帰とを比較した.

結 果

家族計画連盟を排除後,長期作用型可逆的避妊法の請求件数は 1,042 件から 672 件に減少し(相対的減少 35.5%),注射避妊薬の請求件数は 6,832 件から 4,708 件に減少した(相対的減少 31.1%)と推定された(両方の比較について P<0.001).この期間,短期作用型ホルモン避妊法の請求件数には有意な変化は認められなかった.注射避妊薬を使用していた女性のうち,その後予定されていた注射のために受診した女性の割合は,家族計画連盟提携クリニックが存在する郡では,その後の注射が家族計画連盟の排除前に予定されていた女性では 56.9%であったが,排除後に予定されていた女性では 37.7%に減少した一方,提携クリニックが存在しない郡では 54.9%から 58.5%に増加した(家族計画連盟提携クリニックが存在する郡における,存在しない郡に対する差分の差分推定は -22.9 パーセントポイント,P<0.001).家族計画連盟提携クリニックが存在する郡では,この期間におけるメディケイドで補償される出産率は,請求から 18 ヵ月以内に 1.9 パーセントポイント増加した(ベースラインから 27.1%の相対的増加,P=0.01).

結 論

テキサス州において,メディケイドの出来高払いプログラムに替わる州が出資するプログラムから家族計画連盟提携クリニックを排除したことで,避妊法の提供に有害な変化がもたらされた.注射避妊薬を使用している女性では,避妊法の継続率が低下し,メディケイドで補償される出産率が上昇した.(スーザン・トンプソン・バフェット財団から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 853 - 60. )