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September 15, 2016 Vol. 375 No. 11

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急性期脳出血患者に対する積極的降圧治療
Intensive Blood-Pressure Lowering in Patients with Acute Cerebral Hemorrhage

A.I. Qureshi and Others

背景

脳出血患者の急性高血圧の治療に際し,収縮期血圧の目標値決定の指針となるデータは限られている.

方 法

脳出血をきたし(血腫量 60 cm3 未満),グラスゴー昏睡尺度(GCS)スコアが 5 以上(3~15 で,スコアが小さいほど状態がわるいことを示す)の患者を適格とし,積極的降圧治療の標準降圧治療に対する優越性を検証する目的で,収縮期血圧の目標値を 110~139 mmHg とする群(積極的降圧群)と,140~179 mmHg とする群(標準降圧群)に無作為に割り付けた.降圧のために発症から 4.5 時間以内にニカルジピンを静注した.主要転帰は,無作為化後 3 ヵ月の時点での死亡または障害(修正 Rankin スケールで 4~6,スコアの範囲は 0 [症状なし]~6 [死亡])とし,治療割付けを知らない研究者が判定した.

結 果

1,000 例を登録し,500 例を積極的降圧群に,500 例を標準降圧群に割り付けた.ベースラインの平均(±SD)収縮期血圧は 200.6±27.0 mmHg であった.平均年齢は 61.9 歳で,56.2%がアジア人であった.事前に規定した中間解析後,無益性のために登録を中止した.主要転帰である死亡または障害は,積極的降圧群の 38.7%(481 例中 186 例),標準降圧群の 37.7%(480 例中 181 例)に認められた(ベースラインの年齢,GCS スコア,脳室内出血の有無で補正後の相対リスク 1.04;95%信頼区間 0.85~1.27).各施設の研究者が判定した,無作為化後 72 時間以内の治療に関連する重篤な有害事象の発現率は,積極的降圧群 1.6%,標準降圧群 1.2%であった.無作為化後 7 日以内の腎有害事象の発現率は,積極的降圧群のほうが標準降圧群よりも有意に高かった(9.0% 対 4.0%,P=0.002).

結 論

脳出血患者に対し,収縮期血圧 110~139 mmHg を目標とする積極的降圧治療を行っても,140~179 mmHg を目標とする標準降圧治療と比較して,死亡または障害の発生率が低くなることはなかった.(米国国立神経疾患・脳卒中研究所,日本国立循環器病研究センターから研究助成を受けた.ATACH-2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01176565)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 1033 - 43. )