September 29, 2016 Vol. 375 No. 13
非虚血性収縮期心不全患者に対する除細動器植込み
Defibrillator Implantation in Patients with Nonischemic Systolic Heart Failure
L. Køber and Others
冠動脈疾患に起因する症候性収縮期心不全患者における植込み型除細動器(ICD)の利益は十分に確認されている.しかし,冠動脈疾患に起因しない収縮期心不全患者における予防的 ICD の利益を示すエビデンスは,主にサブグループ解析に基づくものである.ICD の試験で重要な結果が得られて以来,心不全の管理は向上し,現在では多くの患者が心臓再同期療法(CRT)を受けている.
冠動脈疾患に起因しない症候性収縮期心不全患者(左室駆出率 35%以下)を対象とする無作為化比較試験で,556 例を ICD 植込みを行う群に,560 例を通常の臨床治療を行う群(対照群)に割り付けた.両群とも患者の 58%が CRT を受けた.主要転帰は全死因死亡とした.副次的転帰は心臓突然死と心血管死亡とした.
追跡期間中央値 67.6 ヵ月の時点で,主要転帰は ICD 群 120 例(21.6%),対照群 131 例(23.4%)で発生した(ハザード比 0.87,95%信頼区間 [CI] 0.68~1.12,P=0.28).心臓突然死は ICD 群 24 例(4.3%),対照群 46 例(8.2%)で発生した(ハザード比 0.50,95% CI 0.31~0.82,P=0.005).デバイス感染は ICD 群 27 例(4.9%),対照群 20 例(3.6%)で発生した(P=0.29).
この試験では,冠動脈疾患に起因しない症候性収縮期心不全患者に対する予防的 ICD 植込みは,通常の臨床治療と比較して長期の全死因死亡率が有意に低いことに関連しなかった.(Medtronic 社ほかから研究助成を受けた.DANISH 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00542945)