The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

October 6, 2016 Vol. 375 No. 14

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

多発性骨髄腫に対するダラツムマブ,レナリドミド,デキサメタゾン
Daratumumab, Lenalidomide, and Dexamethasone for Multiple Myeloma

M.A. Dimopoulos and Others

背景

ダラツムマブ(daratumumab)は,単剤,またはレナリドミド+デキサメタゾンとの併用で,再発・難治性多発性骨髄腫患者を対象とした第 1・2 相試験で期待できる有効性を示した.

方 法

第 3 相試験で,1 レジメン以上の治療歴のある多発性骨髄腫患者 569 例を,レナリドミド+デキサメタゾンのみを投与する群(対照群)と,この 2 剤にダラツムマブを併用する群(ダラツムマブ群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は無増悪生存期間とした.

結 果

プロトコールで規定した中間解析では,追跡期間中央値 13.5 ヵ月の時点で病勢進行または死亡は 169 件認められた(ダラツムマブ群 286 例中 53 例 [18.5%] に対し,対照群 283 例中 116 例 [41.0%];ハザード比 0.37;95%信頼区間 [CI] 0.27~0.52;層別 log-rank 検定で P<0.001).Kaplan–Meier 法による 12 ヵ月無増悪生存率は,ダラツムマブ群 83.2%(95% CI 78.3~87.2)に対し,対照群 60.1%(95% CI 54.0~65.7)であった.全奏効率はダラツムマブ群のほうが対照群よりも有意に高く(92.9% 対 76.4%,P<0.001),完全奏効以上が認められた患者の割合も同様であった(43.1% 対 19.2%,P<0.001).微小残存病変(MRD)の閾値(腫瘍細胞が白血球 105 個に 1 個)を下回った患者の割合は,ダラツムマブ群 22.4%に対し,対照群 4.6%であり(P<0.001),閾値を下回ったことは,転帰の改善に関連していた.治療中に発現したグレード 3 または 4 の有害事象は,好中球減少(ダラツムマブ群 51.9%に対し,対照群 37.0%),血小板減少(12.7% 対 13.5%),貧血(12.4% 対 19.6%)の頻度が高かった.ダラツムマブに関連する投与時反応(infusion-related reaction)は 47.7%で認められ,多くはグレード 1 または 2 であった.

結 論

レナリドミド+デキサメタゾンにダラツムマブを追加することで,再発・難治性多発性骨髄腫患者における無増悪生存期間が有意に延長した.ダラツムマブは,投与時反応と好中球減少の発現率が対照群よりも高いことに関連した.(Janssen Research and Development 社から研究助成を受けた.POLLUX 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02076009)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 1319 - 31. )