October 13, 2016 Vol. 375 No. 15
限局性前立腺癌に対する監視療法,手術,放射線療法による 10 年後の転帰の比較
10-Year Outcomes after Monitoring, Surgery, or Radiotherapy for Localized Prostate Cancer
F.C. Hamdy and Others
前立腺特異抗原(PSA)検査で発見される前立腺癌に対する治療法の,相対的有効性は不明である.
臨床的限局性前立腺癌の治療として,積極的監視療法,根治的前立腺全摘除術,放射線外照射療法を比較した.1999~2009 年に,50~69 歳の男性 82,429 例が PSA 検査を受けた.そのうち 2,664 例が限局性前立腺癌と診断され,1,643 例が無作為化に同意し,積極的監視療法(545 例),手術(553 例),放射線療法(545 例)に割り付けられた.主要評価項目は,追跡期間中央値 10 年の時点での前立腺癌死亡率とした.副次的評価項目は,病勢進行率,転移率,全死因死亡率などとした.
17 例が前立腺癌で死亡した.内訳は積極的監視療法群 8 例(1,000 人年あたり 1.5,95%信頼区間 [CI] 0.7~3.0),手術群 5 例(1,000 人年あたり 0.9,95% CI 0.4~2.2),放射線療法群 4 例(1,000 人年あたり 0.7,95% CI 0.3~2.0)であり,群間で有意差は認められなかった(全体の比較について P=0.48).全死因死亡数にも群間で有意差は認められなかった(全体で 169 例,3 群間の比較について P=0.87).転移は,積極的監視療法群(33 例,1,000 人年あたり 6.3,95% CI 4.5~8.8)が,手術群(13 例,1,000 人年あたり 2.4,95% CI 1.4~4.2),放射線療法群(16 例,1,000 人年あたり 3.0,95% CI 1.9~4.9)よりも多く認められた(全体の比較について P=0.004).病勢進行率は,積極的監視療法群(112 例,1,000 人年あたり 22.9,95% CI 19.0~27.5)が,手術群(46 例,1,000 人年あたり 8.9,95% CI 6.7~11.9),放射線療法群(46 例,1,000 人年あたり 9.0,95% CI 6.7~12.0)よりも高かった(全体の比較について P<0.001).
割り付けられた治療にかかわらず,中央値 10 年の時点での前立腺癌死亡率は低く,治療間で有意差は認められなかった.手術と放射線療法は,積極的監視療法と比較して,病勢進行率と転移率が低いことに関連した.(英国国立健康研究所から研究助成を受けた.ProtecT 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN20141297,ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02044172)