The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

October 13, 2016 Vol. 375 No. 15

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

限局性前立腺癌に対する監視療法,手術,放射線療法による 10 年後の転帰の比較
10-Year Outcomes after Monitoring, Surgery, or Radiotherapy for Localized Prostate Cancer

F.C. Hamdy and Others

背景

前立腺特異抗原(PSA)検査で発見される前立腺癌に対する治療法の,相対的有効性は不明である.

方 法

臨床的限局性前立腺癌の治療として,積極的監視療法,根治的前立腺全摘除術,放射線外照射療法を比較した.1999~2009 年に,50~69 歳の男性 82,429 例が PSA 検査を受けた.そのうち 2,664 例が限局性前立腺癌と診断され,1,643 例が無作為化に同意し,積極的監視療法(545 例),手術(553 例),放射線療法(545 例)に割り付けられた.主要評価項目は,追跡期間中央値 10 年の時点での前立腺癌死亡率とした.副次的評価項目は,病勢進行率,転移率,全死因死亡率などとした.

結 果

17 例が前立腺癌で死亡した.内訳は積極的監視療法群 8 例(1,000 人年あたり 1.5,95%信頼区間 [CI] 0.7~3.0),手術群 5 例(1,000 人年あたり 0.9,95% CI 0.4~2.2),放射線療法群 4 例(1,000 人年あたり 0.7,95% CI 0.3~2.0)であり,群間で有意差は認められなかった(全体の比較について P=0.48).全死因死亡数にも群間で有意差は認められなかった(全体で 169 例,3 群間の比較について P=0.87).転移は,積極的監視療法群(33 例,1,000 人年あたり 6.3,95% CI 4.5~8.8)が,手術群(13 例,1,000 人年あたり 2.4,95% CI 1.4~4.2),放射線療法群(16 例,1,000 人年あたり 3.0,95% CI 1.9~4.9)よりも多く認められた(全体の比較について P=0.004).病勢進行率は,積極的監視療法群(112 例,1,000 人年あたり 22.9,95% CI 19.0~27.5)が,手術群(46 例,1,000 人年あたり 8.9,95% CI 6.7~11.9),放射線療法群(46 例,1,000 人年あたり 9.0,95% CI 6.7~12.0)よりも高かった(全体の比較について P<0.001).

結 論

割り付けられた治療にかかわらず,中央値 10 年の時点での前立腺癌死亡率は低く,治療間で有意差は認められなかった.手術と放射線療法は,積極的監視療法と比較して,病勢進行率と転移率が低いことに関連した.(英国国立健康研究所から研究助成を受けた.ProtecT 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN20141297,ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02044172)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 1415 - 25. )