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November 17, 2016 Vol. 375 No. 20

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進行乳癌におけるパルボシクリブとレトロゾールの併用
Palbociclib and Letrozole in Advanced Breast Cancer

R.S. Finn and Others

背景

エストロゲン受容体(ER)陽性ヒト上皮増殖因子受容体 2(HER2)陰性進行乳癌の閉経後女性における一次治療の第 2 相試験にて,パルボシクリブ(palbociclib)とレトロゾールの併用により,レトロゾール単独と比較して無増悪生存期間が延長することが示された.パルボシクリブとレトロゾールの併用のこの適応での有効性と安全性のデータを確認し,詳細に評価する目的でデザインされた第 3 相試験を行った.

方 法

二重盲検試験にて,ER 陽性 HER2 陰性乳癌の閉経後女性で,進行乳癌に対する治療歴がない 666 例を,パルボシクリブ+レトロゾールを投与する群とプラセボ+レトロゾールを投与する群に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは治療担当医師の評価による無増悪生存期間とした.副次的エンドポイントは全生存期間,客観的奏効,臨床的有用性,患者報告アウトカム,薬物動態学的作用,安全性とした.

結 果

無増悪生存期間中央値は,パルボシクリブ+レトロゾール群 24.8 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 22.1~推定不能)に対し,プラセボ+レトロゾール群 14.5 ヵ月(95% CI 12.9~17.1)であった(病勢進行または死亡のハザード比 0.58,95% CI 0.46~0.72,P<0.001).とくに頻度の高かったグレード 3 または 4 の有害事象は,好中球減少症(パルボシクリブ+レトロゾール群 66.4% 対 プラセボ+レトロゾール群 1.4%),白血球減少症(24.8% 対 0%),貧血(5.4% 対 1.8%),疲労(1.8% 対 0.5%)であった.発熱性好中球減少症は,パルボシクリブ+レトロゾール群の 1.8%で認められ,プラセボ+レトロゾール群では認められなかった.有害事象により,パルボシクリブ+レトロゾール群の 43 例(9.7%)と,プラセボ+レトロゾール群の 13 例(5.9%)が投与を完全に中止した.

結 論

未治療の ER 陽性 HER2 陰性進行乳癌患者に対するパルボシクリブとレトロゾールの併用により,レトロゾール単独と比較して無増悪生存期間が有意に延長したが,骨髄毒性の発現率はパルボシクリブ+レトロゾールのほうが高かった.(Pfizer 社から研究助成を受けた.PALOMA-2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01740427)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 1925 - 36. )