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December 8, 2016 Vol. 375 No. 23

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左冠動脈主幹部病変に対するエベロリムス溶出性ステントとバイパス術との比較
Everolimus-Eluting Stents or Bypass Surgery for Left Main Coronary Artery Disease

G.W. Stone and Others

背景

閉塞性の左冠動脈主幹部病変を有する患者には通常,冠動脈バイパス術(CABG)が施行される.一部の患者では,薬剤溶出性ステントが CABG の代替療法になる可能性があることが無作為化試験から示唆された.

方 法

左冠動脈主幹部病変を有し,その解剖学的複雑性が低~中程度の適格患者 1,905 例を,フルオロポリマーベースのエベロリムス溶出性コバルトクロムステントを用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行う群(PCI 群 948 例)と,CABG を行う群(CABG 群 957 例)に無作為に割り付けた.解剖学的複雑性は各施設で評価し,「TAXUS を用いた PCI と心臓手術の相乗効果(SYNTAX)」スコアが 32 以下で低~中程度とした(SYNTAX スコアは冠動脈病変の総合的な血管造影評価をもとに算出され,最低スコアは 0 で,スコアが高いほど [上限なし] 冠動脈の解剖学的構造が複雑であることを示す).主要エンドポイントは,3 年の時点での全死因死亡,脳卒中,心筋梗塞の複合発生率とし,この試験は主要エンドポイントの非劣性を検証する検出力を有していた(非劣性マージン 4.2 パーセントポイント).主な副次的エンドポイントは,30 日の時点での全死因死亡,脳卒中,心筋梗塞の複合発生率,3 年の時点での死亡,脳卒中,心筋梗塞,虚血による血行再建の複合発生率などとした.イベント発生率は,生存時間(time-to-first-event)解析における Kaplan–Meier 推定値に基づいて算出した.

結 果

3 年の時点で,主要エンドポイントイベントの複合発生率は,PCI 群 15.4%,CABG 群 14.7%であった(差 0.7 パーセントポイント,97.5%信頼限界 4.0 パーセントポイント,非劣性の P=0.02,ハザード比 1.00,95%信頼区間 0.79~1.26,優越性の P=0.98).副次的エンドポイントイベントである 30 日の時点での死亡,脳卒中,心筋梗塞の複合発生率は,PCI 群 4.9%,CABG 群 7.9%であった(非劣性の P<0.001,優越性の P=0.008).副次的エンドポイントイベントである 3 年の時点での死亡,脳卒中,心筋梗塞,虚血による血行再建の複合発生率は,PCI 群 23.1%,CABG 群 19.1%であった(非劣性の P=0.01,優越性の P=0.10).

結 論

左冠動脈主幹部病変を有し, 各施設で評価された SYNTAX スコアが低~中程度の患者において,エベロリムス溶出性ステントを用いた PCI は,エンドポイントとした 3 年の時点での死亡,脳卒中,心筋梗塞の複合発生率に関して,CABG に対して非劣性であった.(Abbott Vascular 社から研究助成を受けた.EXCEL 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01205776)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 2223 - 35. )