2014~15 年のインディアナ州におけるオキシモルホン注射に関連する HIV 感染
HIV Infection Linked to Injection Use of Oxymorphone in Indiana, 2014–2015
P.J. Peters and Others
2015 年 1 月に,インディアナ州の小さなコミュニティで,11 例のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の新規診断が報告された.集団感染の範囲と原因を調査し,感染制御策を講じた.
インディアナ州スコット郡に居住する人,または別の症例患者から注射器共用相手や性交渉相手として名指しされた人の,2014 年 10 月 1 日以降に臨床検査で確定した HIV 感染症の新規診断例を,集団感染に関連する症例として同定した.症例患者の HIV ポリメラーゼ(pol)の配列を系統的に解析し,HIV 感染に関連する潜在的危険因子を明らかにした.
2014 年 11 月 18 日~2015 年 11 月 1 日に,HIV 感染症が 181 例で診断された.それらの症例患者の大半(87.8%)が処方オピオイドのオキシモルホン(oxymorphone)の徐放性製剤を注射していたことを報告し,92.3%が C 型肝炎ウイルスに重複感染していた.HIV 1 型 pol 遺伝子配列が決定された症例患者 159 例のうち,157 例(98.7%)が高度に関連する配列を有することが,系統解析により明らかになった.接触者追跡調査により,症例患者の接触者として名指しされた 536 人が特定され,そのうち 468 人(87.3%)の所在を突き止め,リスク評価と HIV 検査を行い,感染していた場合はケアを紹介した.注射器共用相手として症例患者に名指しされた回数に,HIV 感染リスクとの有意な関連が認められた(名指し 1 回ごとの補正リスク比 1.9,P<0.001).この集団感染を受けて,2015 年 3 月 26 日に公衆衛生上の緊急事態が宣言され,インディアナ州でははじめて注射器交換プログラムが確立された.
インディアナ州の薬剤を注射する人々のネットワーク内での徐放性オキシモルホンの注射によって,HIV が持ち込まれ,急速に伝播した.(インディアナ州政府ほかから研究助成を受けた.)