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August 18, 2016 Vol. 375 No. 7

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原発性胆汁性胆管炎に対するオベチコール酸のプラセボ対照試験
A Placebo-Controlled Trial of Obeticholic Acid in Primary Biliary Cholangitis

F. Nevens and Others

背景

原発性胆汁性胆管炎(以前は原発性胆汁性肝硬変と呼ばれていた)は,ウルソジオール(ursodiol)療法を行っても肝硬変,死亡へと進行しうる.アルカリホスファターゼ値とビリルビン値は,肝移植または死亡のリスクと相関する.ファルネソイド X 受容体作動薬オベチコール酸(obeticholic acid)が,原発性胆汁性胆管炎患者に有用である可能性が示されている.

方 法

12 ヵ月間の第 3 相二重盲検プラセボ対照試験において,ウルソジオールでは効果不十分,または忍容できない副作用が認められた 217 例を,オベチコール酸 10 mg を投与する群(10 mg 群),オベチコール酸 5 mg を投与し,適用可能であれば 10 mg に調整する群(5–10 mg 群),プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,アルカリホスファターゼ値がベースラインから 15%以上低下し,正常値上限の 1.67 倍未満であることと,総ビリルビン値が正常であることとした.

結 果

無作為化され,オベチコール酸またはプラセボの投与を 1 回以上受けた 216 例のうち,93%には基礎療法としてウルソジオールが投与されていた.主要エンドポイントの達成率は,5–10 mg 群(46%)と 10 mg 群(47%)が,プラセボ群(10%)よりも高かった(両比較とも P<0.001).5–10 mg 群と 10 mg 群では,プラセボ群と比較して,アルカリホスファターゼ値の低下が大きく(最小二乗平均値は -113 U/L と -130 U/L に対して -14 U/L,両比較とも P<0.001),総ビリルビン値の低下も大きかった(-0.02 mg/dL と -0.05 mg/dL [-0.3 μmol/L と-0.9 μmol/L] に対して 0.12 mg/dL [2.0 μmol/L],両比較とも P<0.001).12 ヵ月の時点で非侵襲的に評価した肝線維化に,オベチコール酸群とプラセボ群とで有意差は認められなかった.瘙痒感がオベチコール酸投与例でプラセボ投与例よりも多く認められた(5–10 mg 群 56%,10 mg 群 68%に対しプラセボ群 38%).重篤な有害事象の発現率は,5–10 mg 群 16%,10 mg 群 11%,プラセボ群 4%であった.

結 論

原発性胆汁性胆管炎患者において,12 ヵ月間のウルソジオールとオベチコール酸の併用またはオベチコール酸単剤療法により,アルカリホスファターゼ値と総ビリルビン値がベースラインから低下し,プラセボ投与による変化と比較して有意差が認められた.オベチコール酸投与例では重篤な有害事象がより多く認められた.(Intercept Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.POISE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01473524,Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN89514817)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 631 - 43. )