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March 23, 2017 Vol. 376 No. 12

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急性および慢性の坐骨神経痛に対するプレガバリンの試験
Trial of Pregabalin for Acute and Chronic Sciatica

S. Mathieson and Others

背景

坐骨神経痛は日常生活に障害をもたらす可能性があり,薬物治療に関するエビデンスは限られている.プレガバリンは,一部の神経障害性疼痛に有効である.この試験では,プレガバリンによって坐骨神経痛の強度が低下するかどうかを検討した.

方 法

坐骨神経痛患者を対象に,プレガバリンの無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.患者を,最長 8 週間,プレガバリンを投与する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.開始用量は 150 mg/日とし,最大 600 mg/日まで調整した.主要評価項目は,8 週の時点で 10 ポイントスケールで評価した下肢痛強度スコア(0 は痛みなし,10 は想像しうる最大の痛みを示す)とし,主要評価項目の第 2 の時点とした 52 週の時点でも評価した.副次的評価項目は,1 年の試験期間中に,事前に設定した時点で評価した障害の程度,腰痛の強度,QOL 指標などとした.

結 果

209 例を無作為化し,108 例をプレガバリン群に,101 例をプラセボ群に割り付けた.無作為化後,プレガバリン群の 2 例が不適格と判定され,解析から除外された.8 週の時点で,未補正下肢痛強度スコアの平均は,プレガバリン群 3.7,プラセボ群 3.1 であった(補正後の差の平均 0.5,95%信頼区間 [CI] -0.2~1.2,P=0.19).52 週の時点で,未補正下肢痛強度スコアの平均は,プレガバリン群 3.4,プラセボ群 3.0 であった(補正後の差の平均 0.3,95%CI -0.5~1.0,P=0.46).8 週,52 週の両時点で,いずれの副次的評価項目にも群間で有意差は認められなかった.有害事象はプレガバリン群で 227 件,プラセボ群で 124 件報告された.プレガバリン群ではめまいの頻度がプラセボ群より高かった.

結 論

8 週間のプレガバリン投与は,プラセボと比較して,坐骨神経痛に関連する下肢痛の強度を有意には低下させず,その他の評価項目にも有意な改善はみられなかった.有害事象の発現率はプレガバリン群のほうがプラセボ群より有意に高かった.(オーストラリア国立保健医療研究審議会から研究助成を受けた.PRECISE 試験:Australian and New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12613000530729)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 1111 - 20. )