The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

May 4, 2017 Vol. 376 No. 18

心血管疾患患者におけるエボロクマブと臨床転帰
Evolocumab and Clinical Outcomes in Patients with Cardiovascular Disease

M.S. Sabatine and Others

背景

エボロクマブは,前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン 9 型(PCSK9)を阻害し,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値を約 60%低下させるモノクローナル抗体である.心血管イベントを予防するかどうかは明らかにされていない.

方 法

動脈硬化性心血管疾患を有し,LDL コレステロール値が 70 mg/dL(1.8 mmol/L)以上で,スタチン療法を受けている患者 27,564 例を対象に,無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.患者を,エボロクマブ(140 mg を 2 週ごとまたは 420 mg を月 1 回)を皮下注射する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要有効性エンドポイントは,心血管死亡,心筋梗塞,脳卒中,不安定狭心症による入院,冠血行再建の複合とした.主な副次的有効性エンドポイントは,心血管死亡,心筋梗塞,脳卒中の複合とした.追跡期間の中央値は 2.2 年であった.

結 果

48 週の時点で,エボロクマブ群の LDL コレステロール値のプラセボに対する低下率の最小二乗平均値は 59%であり,中央値はベースラインの 92 mg/dL(2.4 mmol/L)から 30 mg/dL(0.78 mmol/L)に低下した(P<0.001).エボロクマブ群では,プラセボ群と比較して,主要エンドポイントのリスクが有意に低下し(1,344 例 [9.8%] 対 1,563 例 [11.3%],ハザード比 0.85,95%信頼区間 [CI] 0.79~0.92,P<0.001),主な副次的エンドポイントのリスクも有意に低下した(816 例 [5.9%] 対 1,013 例 [7.4%],ハザード比 0.80,95% CI 0.73~0.88,P<0.001).結果は,ベースラインの LDL コレステロール値が最低四分位群(中央値 74 mg/dL [1.9 mmol/L])のサブグループを含む主なサブグループで一貫していた.有害事象(糖尿病の新規発症,神経認知関連イベントなど)に関して,エボロクマブ群のほうが頻度が高かった注射部位反応(2.1% 対 1.6%)を除き,群間で有意差は認められなかった.

結 論

この試験では,スタチン療法下でのエボロクマブによる PCSK9 の阻害により,LDL コレステロール値が中央値 30 mg/dL(0.78 mmol/L)に低下し,心血管イベントのリスクが低下した.これらの結果は,動脈硬化性心血管疾患患者には,LDL コレステロール値を現在の目標値よりも低下させることが有益であることを示している.(Amgen 社から研究助成を受けた.FOURIER 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01764633)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 1713 - 22. )