The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

May 11, 2017 Vol. 376 No. 19

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

PCI における瞬時血流予備量比と冠血流予備量比との比較
Use of the Instantaneous Wave-free Ratio or Fractional Flow Reserve in PCI

J.E. Davies and Others

背景

冠血流予備量比(FFR)をガイドにする冠血行再建は,血管造影所見のみに基づく血行再建と比較して,手技後の患者転帰が良好であることに関連する.アデノシンの投与を必要としない代替指標である瞬時血流予備量比(iFR)に,FFR と同程度の有益性があるかどうかは不明である.

方 法

冠動脈疾患患者 2,492 例を,冠血行再建のガイドに iFR を用いる群と FFR を用いる群に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,主要有害心イベント(全死因死亡,非致死的心筋梗塞,予定外の血行再建の複合)の 1 年リスクとした.この試験は,iFR の FFR に対する非劣性を示すデザインとし,リスク差のマージンを 3.4 パーセントポイントとした.

結 果

1 年の時点で,主要エンドポイントは,iFR 群 1,148 例中 78 例(6.8%)と FFR 群 1,182 例中 83 例(7.0%)に発生した(リスク差 -0.2 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -2.3~1.8,非劣性の P<0.001,ハザード比 0.95,95% CI 0.68~1.33,P=0.78).主要エンドポイントの各項目のリスクと,心血管系の原因・心血管系以外の原因による死亡のリスクに,群間で有意差は認められなかった.iFR 群では,FFR 群と比較して,手技に関連する有害な症状・徴候が認められた例が有意に少なく(39 例 [3.1%] 対 385 例 [30.8%],P<0.001),手技時間の中央値が有意に短かった(40.5 分 対 45.0 分,P=0.001).

結 論

iFR をガイドにする冠血行再建は,1 年の時点での主要有害心イベントのリスクに関して,FFR をガイドにする血行再建に対する非劣性を示した.iFR 群では,FFR 群と比較して,手技に関連する有害な徴候・症状の発現率が低く,手技時間が短かった.(Philips Volcano 社から研究助成を受けた.DEFINE-FLAIR 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02053038)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 1824 - 34. )