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June 15, 2017 Vol. 376 No. 24

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HIV 関連タラロマイセス症に対するイトラコナゾールとアムホテリシン B との比較試験
A Trial of Itraconazole or Amphotericin B for HIV-Associated Talaromycosis

T. Le and Others

背景

Talaromyces marneffei 感染は,南アジアと東南アジアにおけるヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連死亡の主な原因である.ガイドラインは初期治療にアムホテリシン B デオキシコール酸ナトリウムを推奨しているが,この薬剤には重大な副作用があり,費用が高く,供給体制が整っていない.イトラコナゾールは,経口薬としての剤形で入手でき,忍容できない副作用はアムホテリシンより少なく,アムホテリシンの代替薬として広く使用されているが,これら 2 剤を比較した臨床試験は不足している.

方 法

非盲検非劣性試験で,顕微鏡検査または培養検査でタラロマイセス症が確定した HIV 感染成人 440 例を,アムホテリシン B デオキシコール酸ナトリウム(アムホテリシン)0.7~1.0 mg/kg/日を静脈内投与する群(219 例)と,イトラコナゾールカプセル 600 mg/日を 3 日間投与後,400 mg/日を 11 日間投与する群(221 例)に無作為に割り付け,その後,全例にイトラコナゾールによる維持療法を行った.主要転帰は,2 週の時点での全死因死亡とした.副次的転帰は,24 週の時点での全死因死亡,タラロマイセス症の臨床的消失までの期間,早期抗真菌活性,タラロマイセス症の再発,免疫再構築症候群(IRIS)の発現,副作用プロファイルなどとした.

結 果

2 週の時点での死亡リスクはアムホテリシン群 6.5%,イトラコナゾール群 7.4%であったが(リスクの絶対差 0.9 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI]-3.9~5.6,非劣性の P<0.001),24 週の時点での死亡リスクはアムホテリシン群 11.3%,イトラコナゾール群 21.0%であった(リスクの絶対差 9.7 パーセントポイント,95% CI 2.8~16.6,P=0.006).アムホテリシン投与は,イトラコナゾール投与よりも,臨床的消失と真菌排除が有意に早いこと,再発率と IRIS 発現率が有意に低いことに関連していた.アムホテリシン投与例では,イトラコナゾール投与例よりも,注入に伴う反応,腎不全,低カリウム血症,低マグネシウム血症,貧血の発現率が有意に高かった.

結 論

タラロマイセス症の初期治療として,アムホテリシンは,イトラコナゾールと比較して,6 ヵ月死亡率,臨床効果,抗真菌活性に関して優越性を示した.(英国医学研究評議会ほかから研究助成を受けた.IVAP 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN59144167)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 2329 - 40. )