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June 22, 2017 Vol. 376 No. 25

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重症喘息におけるベンラリズマブの経口ステロイド減量効果
Oral Glucocorticoid–Sparing Effect of Benralizumab in Severe Asthma

P. Nair and Others

背景

重症喘息患者の多くは,症状の管理を経口ステロイドに依存している.われわれは,喘息増悪の発生を有意に減少させる抗インターロイキン-5 受容体αサブユニットモノクローナル抗体であるベンラリズマブ(benralizumab)が,好酸球増多に関連する重症喘息の管理を経口ステロイドに依存している患者に対する経口ステロイド減量療法としても有効であるかどうかを検討した.

方 法

重症喘息成人患者を対象とした 28 週間の無作為化比較試験で,喘息コントロールを維持しながら経口ステロイドを減量する効果を,ベンラリズマブ(30 mg を 4 週ごとまたは 8 週ごと [最初の 3 回は 4 週ごと] に皮下投与)とプラセボとで比較評価した.主要評価項目は,ベースラインから 28 週までの経口ステロイド用量の変化の割合とした.年間喘息増悪率,肺機能,症状,安全性を評価した.

結 果

試験に組み入れた 369 例のうち,220 例が無作為化され,ベンラリズマブまたはプラセボの投与を開始した.ベンラリズマブの 2 つの投与レジメンのいずれも,経口ステロイドの最終用量の中央値がベースラインから 75%有意に減少したのに対し,プラセボ群では 25%減少した(いずれの比較も P<0.001).経口ステロイド減量のオッズは,ベンラリズマブ群がプラセボ群の 4 倍超であった.副次的評価項目のうち,年間増悪率は,ベンラリズマブ 4 週ごと投与群がプラセボ群より 55%低く(限界増悪率 0.83 対 1.83,P=0.003),ベンラリズマブ 8 週ごと投与群がプラセボ群より 70%低かった(限界増悪率 0.54 対 1.83,P<0.001).28 週の時点で,ベンラリズマブレジメンのいずれにも,プラセボとの比較で 1 秒量(FEV1)に対する有意な効果は認められなかった.喘息症状の各指標に対する効果はさまざまであり,ベンラリズマブを支持する有意な変化を認める指標もあれば,有意な変化を認めない指標もあった.有害事象の頻度は,ベンラリズマブの各群とプラセボ群とで同程度であった.

結 論

ベンラリズマブは,プラセボと比較して経口ステロイド使用と喘息増悪率に有意かつ臨床的に重要な利益を示した.これらの効果には,FEV1 に対する持続的効果は伴わなかった.(AstraZeneca 社から研究助成を受けた.ZONDA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02075255)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 2448 - 58. )