The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

January 5, 2017 Vol. 376 No. 1

症候性末梢動脈疾患に対するチカグレロルとクロピドグレルとの比較
Ticagrelor versus Clopidogrel in Symptomatic Peripheral Artery Disease

W.R. Hiatt and Others

背景

末梢動脈疾患(PAD)は,心血管系と四肢に関連する有害事象を伴う全身性アテローム性動脈硬化症の一症状と考えられる.先行試験のデータから,クロピドグレル単剤投与を受けている患者は,アスピリン単剤投与を受けている患者と比較して心血管イベントのリスクが低いことが示唆されている.われわれは,PAD 患者において,クロピドグレルと強力な抗血小板薬であるチカグレロルとを比較したいと考えた.

方 法

二重盲検イベント主導型試験において,症候性 PAD 患者 13,885 例を,チカグレロル単剤投与群(90 mg を 1 日 2 回)とクロピドグレル単剤投与群(75 mg を 1 日 1 回)に無作為に割り付けた.足関節上腕血圧比(ABI)が 0.80 以下であるか,下肢血行再建の既往がある患者を適格とした.主要有効性エンドポイントは,判定された心血管死亡,心筋梗塞,脳梗塞の複合とした.主要安全性エンドポイントは重大な出血とした.追跡期間中央値は 30 ヵ月であった.

結 果

患者の年齢中央値は 66 歳で,72%は男性であった.43%が ABI に基づき登録され,57%が血行再建の既往に基づき登録された.ベースラインの ABI の平均値は 0.71 で,76.6%に跛行,4.6%に重症虚血肢が認められた.主要有効性エンドポイントは,チカグレロル群 6,930 例中 751 例(10.8%)と,クロピドグレル群 6,955 例中 740 例(10.6%)に発生した(ハザード比 1.02,95%信頼区間 [CI] 0.92~1.13,P=0.65).各群で,急性虚血肢は 1.7%に発生し(ハザード比 1.03,95% CI 0.79~1.33,P=0.85),重大な出血は 1.6%に発生した(ハザード比 1.10,95% CI 0.84~1.43,P=0.49).

結 論

症候性 PAD 患者において,チカグレロルはクロピドグレルと比較して,心血管イベントの減少に関して優越性を示さなかった.重大な出血の発生率は 2 群で同程度であった.(AstraZeneca 社から研究助成を受けた.EUCLID 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01732822)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 32 - 40. )