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February 9, 2017 Vol. 376 No. 6

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幹細胞移植後の骨髄異形成症候群の予後を予測する変異
Prognostic Mutations in Myelodysplastic Syndrome after Stem-Cell Transplantation

R.C. Lindsley and Others

背景

遺伝子変異は骨髄異形成症候群(MDS)の発症要因の一つであり,臨床表現型と密接に関連する.そのため,遺伝子変異から同種造血幹細胞移植後の臨床転帰が予測できる可能性がある.

方 法

2005~14 年に国際血液骨髄移植研究センター(CIBMTR)リポジトリに登録された MDS 患者 1,514 例の,移植前に採取された検体を用いて標的変異解析を行った.変異と移植後の全生存,再発,無再発死亡などの転帰について,関連を検討した.

結 果

TP53 変異は全体の 19%に認められ,重要な臨床的変数で補正すると,TP53 変異ありでは,変異なしと比較して生存期間が短く,再発までの期間が短かった(いずれの比較も P<0.001).TP53 変異なしで 40 歳以上の場合,RAS 経路変異ありでは,変異なしと比較して,再発リスクが高かったことにより生存期間が短く(P=0.004),また JAK2 変異ありでは,変異なしと比較して,無再発死亡リスクが高かったことにより生存期間が短かった(P=0.001).TP53 変異による予後への悪影響は,強度減弱前処置を受けた患者でも骨髄破壊的前処置を受けた患者でも同様であった.これに対し,RAS 経路変異による再発リスクへの悪影響は,強度減弱前処置を受けた場合のみ,RAS 経路変異なしと比較して顕著であった(P<0.001).若年成人患者では,4%に TP53 変異とともにシュワックマン–ダイアモンド症候群関連遺伝子 SBDS に複合ヘテロ接合体が認められ,予後不良であった.p53 調節因子 PPM1D に変異が認められる頻度は,治療関連 MDS 患者のほうが原発性 MDS 患者よりも高かった(15% 対 3%,P<0.001).

結 論

遺伝子プロファイリングにより,MDS に対し同種造血幹細胞移植を受ける患者が分子サブグループに分類され,予後の層別化と前処置レジメンの選択に有用な情報を提供しうることが明らかになった.(エドワード・P・エヴァンス基金ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 536 - 47. )