The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

February 23, 2017 Vol. 376 No. 8

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

急性・重症患児に対する厳格な血糖コントロール
Tight Glycemic Control in Critically Ill Children

M.S.D. Agus and Others

背景

複数の多施設共同試験で,心臓手術後の急性・重症期の成人または小児に正常血糖値を目標とする厳格なコントロールを行っても,転帰が改善することは示されていない.心臓手術を受けていない重症患児を対象とした試験は行われていない.

方 法

35 施設の共同試験で,高血糖が確認された急性・重症患児(心臓手術を受けた患児は除外する)を,血糖コントロールの目標を 80~110 mg/dL(4.4~6.1 mmol/L)とする群(低目標値群)と 150~180 mg/dL(8.3~10.0 mmol/L)とする群(高目標値群)に無作為に割り付けた.臨床従事者には,持続血糖モニタリングと明確なインスリン調整法を指導した.主要評価項目は,28 日目までの集中治療室(ICU)非在室日数とした.

結 果

この試験は,利益を得られる可能性が低く,有害となる可能性が示されたため,データ安全性モニタリング委員会の勧告に基づき早期に中止された.713 例のうち,360 例を低目標値群,353 例を高目標値群に無作為に割り付けた.intention-to-treat 解析では,ICU 非在室日数の中央値に低目標値群と高目標値群とで有意差は認められなかった(それぞれ 19.4 日 [四分位範囲 {IQR} 0~24.2],19.4 日 [IQR 6.7~23.9],P=0.58).per-protocol 解析では,血糖値の時間加重平均の中央値は,低目標値群(109 mg/dL [IQR 102~118],6.1 mmol/L [IQR 5.7~6.6])のほうが高目標値群(123 mg/dL [IQR 108~142],6.8 mmol/L [IQR 6.0~7.9])よりも有意に低かった(P<0.001).また,低目標値群では,高目標値群と比較して,医療関連感染症の発生率(349 例中 12 例 [3.4%] 対 349 例中 4 例 [1.1%],P=0.04)と,血糖値 40 mg/dL(2.2 mmol/L)未満と定義した重症低血糖の発生率(18 例 [5.2%] 対 7 例 [2.0%],P=0.03)が高かった.死亡率,臓器不全の重症度,人工呼吸器非装着日数に有意差は認められなかった.

結 論

高血糖を呈する急性・重症患児において,血糖値 80~110 mg/dL を目標とする厳格なコントロールは,150~180 mg/dL を目標とするコントロールと比較して,利益をもたらさなかった.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.HALF-PINT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01565941)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 729 - 41. )