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February 23, 2017 Vol. 376 No. 8

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ペースメーカーまたは除細動器を植え込んだ患者における MRI に関連するリスクの評価
Assessing the Risks Associated with MRI in Patients with a Pacemaker or Defibrillator

R.J. Russo and Others

背景

心血管植込み型電子機器が存在する場合,MRI は長らく禁忌とされてきた.われわれは,「MRI 非対応」(すなわち,米国食品医薬品局から MRI スキャンに関する承認を得ていない)のペースメーカーまたは植込み型除細動器(ICD)を植え込んだ患者において,磁場強度 1.5 テスラの MRI に関連するリスクを同定するため,前向き登録を構築した.

方 法

磁場強度 1.5 テスラの胸部以外の MRI が臨床的に適応とされた患者を登録の対象とした.標準化プロトコールを用いて MRI 前後にデバイスの動作を確認し,スキャン前に適切に再プログラミングした.主要エンドポイントはスキャン中の死亡,ジェネレータまたはリードの故障,不整脈の誘発,キャプチャーの失敗,電気的リセットとした.副次的エンドポイントはデバイスの設定変更とした.

結 果

MRI はペースメーカーを植え込んだ患者で 1,000 件,ICD を植え込んだ患者で 500 件施行した.MRI 中に死亡,リードの故障,キャプチャーの失敗,心室性不整脈は発生しなかった.MRI 後に 1 個の ICD でジェネレータの動作が確認できず,早急な交換を要したが,このデバイスは MRI 前にプロトコールに従って適切なプログラミングがされていなかった.自然停止する心房細動・心房粗動は 6 件,部分的電気的リセットは 6 件発生した.少数の症例で,リードインピーダンス,ペーシング閾値,バッテリー電圧,P 波および R 波の振幅の変化が,事前に規定した閾値を上回った.MRI の再施行は有害事象の増加に関連しなかった.

結 論

この研究では,MRI 非対応のペースメーカーまたは ICD を植え込んだ患者に対して,適切なスクリーニングを行い,事前に規定したプロトコールに従い MRI 前にデバイスを再プログラミングし,臨床的に適応とされた 1.5 テスラの胸部以外の MRI を施行した結果,デバイスまたはリードの故障は発生しなかった.(St. Jude Medical 社ほかから研究助成を受けた.MagnaSafe 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00907361)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 755 - 64. )