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March 2, 2017 Vol. 376 No. 9

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アトピー性皮膚炎に対する抗インターロイキン-31 受容体 A 抗体
Anti–Interleukin-31 Receptor A Antibody for Atopic Dermatitis

T. Ruzicka and Others

背景

インターロイキン-31 は,アトピー性皮膚炎と瘙痒の病理生物学的機序に関与している可能性がある.アトピー性皮膚炎治療における抗インターロイキン-31 受容体 A ヒト化抗体ネモリズマブ(nemolizumab)(CIM331)の有効性と安全性を評価した.

方 法

12 週間の第 2 相無作為化二重盲検プラセボ対照試験において,外用治療では管理が不十分な中等症~重症のアトピー性皮膚炎の成人を,ネモリズマブ(0.1 mg/kg,0.5 mg/kg,2.0 mg/kg)またはプラセボを 4 週ごとに皮下投与する群と,探索的にネモリズマブ 2.0 mg/kg を 8 週ごとに皮下投与する群に割り付けた.主要エンドポイントは,12 週の時点における瘙痒ビジュアルアナログスケール(VAS)スコア(スコア低下は改善を示す)のベースラインからの改善率とした.副次的エンドポイントは,湿疹面積・重症度指数(EASI)スコア(スコア低下は改善を示す)の変化,アトピー性皮膚炎の体表面積の変化などとした.

結 果

無作為化した 264 例のうち,216 例(82%)が試験を完了した.12 週の時点で,ネモリズマブを 4 週ごとに投与した患者における瘙痒 VAS の変化は,0.1 mg 群で -43.7%,0.5 mg 群で -59.8%,2.0 mg 群で -63.1%であったのに対し,プラセボ群では -20.9%であった(すべての比較について P<0.01).EASI の変化は,ネモリズマブの各群で -23.0%,-42.3%,-40.9%であったのに対し,プラセボ群では -26.6%であった.皮膚病変の体表面積の変化は,ネモリズマブの各群で -7.5%,-20.0%,-19.4%であったのに対し,プラセボ群では -15.7%であった.ネモリズマブを 4 週ごとに投与した患者における治療中断は,0.1 mg 群で 53 例中 9 例(17%),0.5 mg 群で 54 例中 9 例(17%),2.0 mg 群で 52 例中 7 例(13%)であったのに対し,プラセボ群では 53 例中 9 例(17%)であった.

結 論

この第 2 相試験では,ネモリズマブの月 1 回投与は,すべての用量で中等症~重症のアトピー性皮膚炎患者の瘙痒を有意に改善した.これは,インターロイキン-31 受容体 A を標的化することの有効性を示している.試験の規模と期間が限られているため有害事象に関する結論を出すことはできない.(Chugai Pharmaceutical 社から研究助成を受けた.XCIMA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01986933)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 826 - 35. )