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September 21, 2017 Vol. 377 No. 12

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心筋梗塞におけるビバリルジンとヘパリン単剤療法との比較
Bivalirudin versus Heparin Monotherapy in Myocardial Infarction

D. Erlinge and Others

背景

急性心筋梗塞に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は,現在橈骨動脈アプローチで施行され,糖蛋白 IIb/IIIa 阻害薬の計画的投与は行わず,より強力な P2Y12 阻害薬が投与されている.このような治療を受ける患者でさまざまな抗凝固戦略の有効性が比較されているが,明確な結果は得られていない.

方 法

多施設共同無作為化登録ベース非盲検臨床試験で,ST 上昇型心筋梗塞(STEMI)または非 STEMI(NSTEMI)患者で PCI を施行し,強力な P2Y12 阻害薬(チカグレロル,プラスグレル,カングレロル [cangrelor] のいずれか)を投与するが糖蛋白 IIb/IIIa 阻害薬の計画的投与は行わない患者を登録した.患者を,PCI 施行中にビバリルジン(bivalirudin)を投与する群とヘパリンを投与する群に無作為に割り付けた.PCI は主に橈骨動脈アプローチで施行した.主要エンドポイントは,180 日の追跡期間中の全死因死亡,心筋梗塞,重大な出血の複合とした.

結 果

6,006 例(STEMI 患者 3,005 例,NSTEMI 患者 3,001 例)を登録した.180 日の時点で,主要エンドポイントイベントは,ビバリルジン群の 12.3%(3,004 例中 369 例)とヘパリン群の 12.8%(3,002 例中 383 例)で発生していた(ハザード比 0.96,95%信頼区間 [CI] 0.83~1.10,P=0.54).結果は STEMI 患者と NSTEMI 患者とのあいだ,また他の主なサブグループ間でも一貫していた.心筋梗塞の発生率はビバリルジン群 2.0%,ヘパリン群 2.4%(ハザード比 0.84,95% CI 0.60~1.19,P=0.33),重大な出血の発生率は 8.6%と 8.6%(ハザード比 1.00,95% CI 0.84~1.19,P=0.98),確定的なステント血栓症の発生率は 0.4%と 0.7%(ハザード比 0.54,95% CI 0.27~1.10,P=0.09),死亡の発生率は 2.9%と 2.8%(ハザード比 1.05,95% CI 0.78~1.41,P=0.76)であった.

結 論

心筋梗塞で PCI を施行する患者において,ビバリルジンを投与した例の全死因死亡,心筋梗塞,重大な出血の複合発生率は,ヘパリンを単剤投与した例と比較して低くなかった.(スウェーデン心臓・肺財団ほかから研究助成を受けた.VALIDATE-SWEDEHEART 試験:ClinicalTrialsRegister.eu 登録番号 2012-005260-10,ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02311231)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 1132 - 42. )