The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

September 21, 2017 Vol. 377 No. 12

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

胃バイパス術後 12 年の時点での体重および代謝の転帰
Weight and Metabolic Outcomes 12 Years after Gastric Bypass

T.D. Adams and Others

背景

これまでに肥満手術の長期追跡調査,対照試験はほとんど行われていない.われわれは,米国で行われたルーワイ胃バイパス術に関する前向き観察研究の 12 年間の追跡結果を報告する.

方 法

対象は高度肥満症の 1,156 例で,次の 3 群で構成された:ルーワイ胃バイパス術を求めて受診し,手術を受けた 418 例(手術群),同様に受診したが,手術を受けなかった 417 例(主に保険上の理由)(非手術群 1),そのような手術は求めなかった 321 例(非手術群 2).ベースライン,2 年,6 年,12 年の時点で臨床検査を行い,2 型糖尿病,高血圧,脂質異常症の有無を確認した.

結 果

12 年の時点での追跡率は 90%を超えていた.体重のベースラインからの補正平均変化量は,手術群では 2 年の時点で -45.0 kg(95%信頼区間 [CI] -47.2~-42.9,平均変化率 -35.0),6 年の時点で -36.3 kg(95% CI -39.0~-33.5,平均変化率 -28.0),12 年の時点で -35.0 kg(95% CI -38.4~-31.7,平均変化率 -26.9)であり,非手術群 1 では 12 年の時点で -2.9 kg(95% CI -6.9~1.0,平均変化率 -2.0),非手術群 2 では 12 年の時点で 0 kg(95% CI -3.5~3.5,平均変化率 -0.9)であった.ベースラインで 2 型糖尿病を有していた手術群の患者で,2 型糖尿病の寛解が得られた割合は,2 年の時点で 88 例中 66 例(75%),6 年の時点で 87 例中 54 例(62%),12 年の時点で 84 例中 43 例(51%)であった.12 年の時点での 2 型糖尿病発症のオッズ比は,手術群と非手術群 1 との比較で 0.08(95% CI 0.03~0.24),手術群と非手術群 2 との比較で 0.09(95% CI 0.03~0.29)であった(両方の比較について P<0.001).手術群では,非手術群 1 と比較して高血圧と脂質異常症の寛解率が高く,発症率が低かった(すべての比較について P<0.05).

結 論

この研究から,ルーワイ胃バイパス術を行うことで長期にわたって体重減少が持続し,2 型糖尿病,高血圧,脂質異常症の寛解と予防に有効であることが示された.(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 1143 - 55. )