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September 28, 2017 Vol. 377 No. 13

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動脈硬化性疾患患者におけるアナセトラピブの効果
Effects of Anacetrapib in Patients with Atherosclerotic Vascular Disease

The HPS3/TIMI55-REVEAL Collaborative Group

背景

動脈硬化性疾患患者では,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールの低下に有効なスタチンを中心とする治療を行っても,心血管イベントリスクは依然として高い.アナセトラピブ(anacetrapib)でコレステリルエステル転送蛋白(CETP)を阻害すると,LDL コレステロールが低下し,高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールが上昇する.しかし,他の CETP 阻害薬は,心血管転帰に対する効果が良好でも不良でもないこと,あるいは有害であることが複数の試験で示されている.

方 法

動脈硬化性疾患で強化アトルバスタチン療法を受けている成人患者 30,449 例を対象に,無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.平均 LDL コレステロール値は 61 mg/dL(1.58 mmol/L),平均 non-HDL コレステロール値は 92 mg/dL(2.38 mmol/L),平均 HDL コレステロール値は 40 mg/dL(1.03 mmol/L)であった.患者を,アナセトラピブ 100 mg を 1 日 1 回投与する群(15,225 例)と,マッチさせたプラセボを投与する群(15,224 例)に割り付けた.初回主要冠動脈イベント,すなわち冠動脈疾患による死亡,心筋梗塞,冠血行再建の複合を主要転帰とした.

結 果

中央値 4.1 年の追跡期間中,主要転帰の発生はアナセトラピブ群のほうがプラセボ群より有意に少なかった(15,225 例中 1,640 例 [10.8%] 対 15,224 例中 1,803 例 [11.8%],率比 0.91,95%信頼区間 0.85~0.97,P=0.004).リスクの相対差は,事前に規定した複数のサブグループ間で同程度であった.試験の中間時点で,アナセトラピブ群の平均 HDL コレステロール値は,プラセボ群と比較して 43 mg/dL(1.12 mmol/L)高く(相対差 104%),平均 non-HDL コレステロール値は 17 mg/dL(0.44 mmol/L)低く,相対差は -18%であった.死亡,癌,その他の重篤な有害事象のリスクに群間で有意差は認められなかった.

結 論

動脈硬化性疾患で強化スタチン療法を受けている患者では,アナセトラピブ投与を行うことで,主要冠動脈イベントの発生率がプラセボ投与より低下した.(Merck 社ほかから研究助成を受けた.Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN48678192,ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01252953,EudraCT 登録番号 2010-023467-18)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 1217 - 27. )