October 12, 2017 Vol. 377 No. 15
リベリアにおける 2 種類のエボラ予防ワクチンの第 2 相プラセボ対照試験
Phase 2 Placebo-Controlled Trial of Two Vaccines to Prevent Ebola in Liberia
S.B. Kennedy and Others
リベリアでエボラウイルス病(EVD)の発生率がピークに達していた時期における EVD 予防ワクチンの安全性と有効性は不明であった.
リベリアで,チンパンジーアデノウイルス 3 型ワクチン(ChAd3-EBO-Z)と組換え水疱性口内炎ウイルスワクチン(rVSVΔG-ZEBOV-GP)の無作為化プラセボ対照第 3 相試験を開始した.安全性と免疫原性を評価するため,第 2 相サブトライアルを組み込んだ.リベリアで EVD 発生率が低下したため,第 2 相サブトライアルを拡大し,第 3 相試験を省略した.
成人 1,500 例を無作為化し,12 ヵ月間追跡した.被験者の年齢中央値は 30 歳で,36.6%が女性であった.ワクチンまたはプラセボの投与後 1 週間における有害事象の発現率は,両ワクチン群のほうがプラセボ群よりも有意に高く,注射部位反応(ChAd3-EBO-Z 群 28.5%と rVSVΔG-ZEBOV-GP 群 30.9%に対しプラセボ群 6.8%),頭痛(25.1%と 31.9% 対 16.9%),筋肉痛(22.3%と 26.9% 対 13.3%),熱感(23.9%と 30.5% 対 9.0%),疲労(14.0%と 15.4% 対 8.8%)などがみられた(いずれの比較も P<0.001).これらの差は 1 ヵ月の時点では認められなかった.注射後 12 ヵ月以内の重篤な有害事象は,ChAd3-EBO-Z 群 40 例(8.0%),rVSVΔG-ZEBOV-GP 群 47 例(9.4%),プラセボ群 59 例(11.8%)に発現した.1 ヵ月後までに抗体反応を認めた割合は,ChAd3-EBO-Z 群が 70.8%,rVSVΔG-ZEBOV-GP 群が 83.7%であったのに対し,プラセボ群では 2.8%であった(いずれの比較も P<0.001).12 ヵ月の時点でも,抗体反応を認めた割合は,ChAd3-EBO-Z 群(63.5%)と rVSVΔG-ZEBOV-GP 群(79.5%)で,プラセボ群(6.8%)と比較して有意に高かった(いずれの比較も P<0.001).
リベリアで迅速に開始・終了した,2 種類のワクチンの無作為化プラセボ対照第 2 相試験により,集団発生中でも厳格な試験の実施が可能であることが示された.ワクチン接種により,接種後 1 ヵ月までに,大部分で接種後 12 ヵ月まで持続する免疫反応が誘導された.(米国国立アレルギー感染症研究所,リベリア保健省から研究助成を受けた.PREVAIL I 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02344407)