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November 2, 2017 Vol. 377 No. 18

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脊髄性筋萎縮症に対する単回投与の遺伝子置換療法
Single-Dose Gene-Replacement Therapy for Spinal Muscular Atrophy

J.R. Mendell and Others

背景

脊髄性筋萎縮症 1 型(SMA1)は,乳児期に発症する進行性の単一遺伝子性運動ニューロン疾患である.運動マイルストーンを達成することができず,2 歳までに死亡するか,人工呼吸管理が必要になる.われわれは,この疾患で変異している生存運動ニューロン 1 をコードする遺伝子(SMN1)の機能的置換を検討した.

方 法

SMA1 患児 15 例に,欠失している SMN 蛋白をコードする SMN 相補的 DNA を組み込んだ血清型 9 型アデノ随伴ウイルスを静脈内に単回投与した.3 例に低用量(6.7×1013 vg/kg),12 例に高用量(2.0×1014 vg/kg)を投与した.安全性を主要評価項目とした.死亡するまで,または永続的な呼吸補助が必要になるまでの期間を副次的評価項目とした.探索的解析では,2 コホートの運動機能評価尺度 CHOP INTEND(フィラデルフィア小児病院乳児神経筋疾患検査;0~64 点で,スコアが高いほど機能が良好であることを示す)のスコア,高用量コホートの運動マイルストーン到達度を,SMA1 の自然経過に関する研究(歴史的コホート)と比較した.

結 果

2017 年 8 月 7 日のデータカットオフ時点で,15 例全例が生後 20 ヵ月の時点で生存しイベントは発生していなかったのに対し,歴史的コホートの生存率は 8%であった.CHOP INTEND スコアはベースラインから急上昇し,遺伝子投与後 1 ヵ月の時点で 9.8 点,3 ヵ月の時点では 15.4 点へと上昇したのに対し,歴史的コホートでは低下した.高用量コホート 12 例のうち,支えなしでお座りができたのは 11 例,寝返りができたのは 9 例,経口摂取と発語ができたのは 11 例,ひとり歩きができたのは 2 例であった.4 例に血清アミノトランスフェラーゼ上昇が認められたが,プレドニゾロンによって軽減された.

結 論

SMA1 に対し,SMN をコードする DNA を含むアデノウイルスベクターの単回静注を行った患児では,歴史的コホートと比較して生存期間が長く,運動マイルストーンの達成に優れ,運動機能が良好であった.この遺伝子療法の安全性と有効性を確認するには,さらに研究が必要である.(AveXis 社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02122952)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 1713 - 22. )