The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

November 30, 2017 Vol. 377 No. 22

ウガンダにおける HIV 感染予防の取組みと HIV 感染症発生率
HIV Prevention Efforts and Incidence of HIV in Uganda

M.K. Grabowski and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染予防を目的とした複合戦略が HIV 感染症の発生率に及ぼす効果を評価するために,われわれはウガンダのラカイにおける HIV 感染症発生率と,抗レトロウイルス療法(ART)および男性の包皮切除術の実施拡大との関連を解析した.集団レベルでのウイルス増殖の抑制と,性行動における変化についても検討した.

方 法

1999~2016 年に,15~49 歳の人々から成る集団ベースのオープンコホート,Rakai Community Cohort Study の 12 の調査を用いて,30 の地域社会のデータを収集した.セロコンバージョンのデータ,参加者の報告による ART の実施,参加者の報告による男性の包皮切除術の施行,ウイルス増殖の抑制,性行動に基づき,HIV 感染症発生率の動向を評価した.

結 果

研究参加者 33,937 例がのべ 103,011 回来院した.当初 HIV 陰性であった 17,870 例を 94,427 人年追跡したところ,うち 931 例でセロコンバージョンが認められた.2004 年に ART が導入され,2016 年までに ART の実施率は 69%になった(女性 72% 対 男性 61%,P<0.001).すべての HIV 陽性者のうち,HIV ウイルス増殖が抑制された割合は,2009 年には 42%であったのが,2016 年までに 75%に上昇した(P<0.001).男性の包皮切除術の施行率は,1999 年には 15%であったのが,2016 年までに 59%に上昇した(P<0.001).性行為を開始していない(遅い初交)と報告した 15~19 歳の青少年の割合は,1999 年の 30%から 2016 年には 55%に上昇した(P<0.001).2016 年までに,HIV 感染症発生率の平均は,2006 年より前(HIV 感染予防を目的とした複合戦略が拡大される前)の期間と比較して 42%低下し,症例数は 100 人年あたり 1.17 例から 0.66 例に減少した(補正後の発生率比 0.58,95%信頼区間 [CI] 0.45~0.76).低下は男性(補正後の発生率比 0.46,95% CI 0.29~0.73)のほうが女性(補正後の発生率比 0.68,95% CI 0.50~0.94)よりも大きかった.

結 論

この縦断的研究では,HIV 感染予防を目的とした複合戦略の拡大により HIV 感染症発生率が有意に低下し,HIV 感染予防を目的とした介入は,集団レベルで効果をもたらしうるという実証的エビデンスが得られた.しかし,性別による格差をなくし,HIV 感染症の発生率をさらに低下させるには,さらなる取組みが必要である.(米国国立アレルギー感染症研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 2154 - 66. )