The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

December 7, 2017 Vol. 377 No. 23

高活性第 IX 因子変異体を用いた血友病 B の遺伝子治療
Hemophilia B Gene Therapy with a High-Specific-Activity Factor IX Variant

L.A. George and Others

背景

凝固因子レベルを適切に維持することによる出血の予防を,1 回の治療介入で,それ以上の医学的介入を必要とせずに行えることが,血友病治療の重要な目標である.

方 法

血友病 B で第 IX 因子凝固活性が正常値の 2%以下の男性 10 例に,生物工学的に作製したキャプシド,肝臓特異的プロモーター,第 IX 因子 Padua(第 IX 因子–R338L)導入遺伝子から成る一本鎖アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを 5×1011 ベクターゲノム/kg で注入した.ベクター注入後,臨床検査値,出血頻度,第 IX 因子濃縮製剤の使用量を前向きに評価し,ベースライン値と比較した.

結 果

ベクター注入時または注入後に,重篤な有害事象は発現しなかった.ベクターによる第 IX 因子凝固活性は全例で維持され,定常状態の第 IX 因子凝固活性の平均(±SD)は,33.7±18.5%(14~81)であった.全例の累積追跡期間 492 週(それぞれの追跡期間は 28~78 週)において,出血の年間発生率は有意に低下し(平均で,ベクター投与前 11.1 件/年 [0~48] 対 投与後 0.4 件/年 [0~4];P=0.02),第 IX 因子製剤使用量も有意に減少した(平均で,ベクター投与前 2,908 IU/kg [0~8,090] 対 投与後 49.3 IU/kg [0~376];P=0.004).10 例のうち,8 例は第 IX 因子製剤を使用せず,9 例はベクター投与後の出血がなかった.2 例に無症候性の肝酵素上昇を認めたが,短期のプレドニゾン投与により回復した.ベースラインで複数の進行した関節症を有していた 1 例では,出血が起こり第 IX 因子製剤が投与されたが,総使用量はベクター注入前と比較して 91%少なかった.

結 論

われわれは,同一用量のベクターを投与した血友病患者 10 例で,遺伝子導入によって第 IX 因子凝固活性の治療的発現が維持されることを見出した.導入遺伝子による第 IX 因子凝固活性により,ベースラインで行われていた第 IX 因子の定期補充療法の打切りが可能になり,出血と第 IX 因子製剤使用をほぼなくすことができた.(Spark Therapeutics 社,Pfizer 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02484092)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 2215 - 27. )