The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

December 28, 2017 Vol. 377 No. 26

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

心臓デバイスを有する患者における磁気共鳴画像法の安全性
Safety of Magnetic Resonance Imaging in Patients with Cardiac Devices

S. Nazarian and Others

背景

ペースメーカーまたは除細動器を有する患者は,デバイスが磁気共鳴画像法(MRI)に関して米国食品医薬品局の定める基準を満たしているもの(以下「MRI 対応」デバイス)でなければ,安全性の懸念から MRI を受けられないことが多い.

方 法

前向き非無作為化試験で,MRI 非対応と判断されるペースメーカー(58%)または植込み型除細動器(42%)(以下「旧式」デバイス)を有する患者 1,509 例において,磁場強度 1.5 テスラの MRI の安全性を評価した.全体で,臨床的に必要と判断された胸部および胸部以外の MRI 検査 2,103 件が施行された.ペーシングモードは,ペーシング依存例は非同期モードに,それ以外の例はデマンドモードに変更した.頻脈性不整脈治療機能は無効にした.転帰評価は,有害事象,リードおよびジェネレータの機能や,周辺組織との相互作用を示す変数(デバイスパラメータ)の変化について行った.

結 果

長期の臨床的に重要な有害事象は報告されなかった.MRI 検査 9 件(0.4%,95%信頼区間 0.2~0.7)で,デバイスがバックアップモードにリセットされた.9 件中 8 件のリセットは一過性であった.1 件では,ペースメーカーの電池寿命が残り 1 ヵ月未満であり,心室抑制ペーシングモードにリセットされ,再プログラミングされることはなかった.このデバイスはその後交換された.デバイスパラメータで,MRI 直後にもっとも多くみられた顕著な変化(ベースラインから 50%を超える)は P 波振幅の減少で,患者の 1%で発生した.長期追跡時(追跡結果が得られた患者は 63%)にとくに多くみられたベースラインからの顕著な変化は,P 波振幅の減少(患者の 4%),心房捕捉の閾値の上昇(4%),右心室捕捉の閾値の上昇(4%),左心室捕捉の閾値の上昇(3%)であった.リードパラメータの変化に臨床的に重要なものはなく,デバイスの交換や再プログラミングを必要としなかった.

結 論

旧式のペースメーカーまたは旧式の植込み型除細動器システムを有する患者 1,509 例に,事前に規定した安全性プロトコールに沿って施行した MRI の安全性を評価した.長期の臨床的に重要な有害事象は報告されなかった.(ジョンズ・ホプキンス大学,米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01130896)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 2555 - 64. )