August 17, 2017 Vol. 377 No. 7
参照価格制度と薬剤の選択および支出との関連
Association of Reference Pricing with Drug Selection and Spending
J.C. Robinson, C.M. Whaley, and T.T. Brown
米国では,効能の類似した薬剤の価格帯が広い.そのため,公的または民間の医療保険会社による,患者をより価格の低い選択肢へと誘導する取組みが活発化している.参照価格制度のもとでは,保険会社または雇用主は,薬剤または治療処置の価格に最大限の償還額を設定し,患者は残額を支払う.
difference-in-differences 多変量回帰法を用いて,米国における 1,302 の薬剤と 78 の薬剤クラスの処方と価格設定について,民間雇用主連合が参照価格制度を導入する前後の変化を検討した.調査対象群における動向を,参照価格制度の影響を受けない被雇用者群の動向と比較検討した.2010~14 年の期間に償還された処方 1,122,741 件を調査対象とした.
参照価格制度の導入は,対照群と比較して,処方された薬剤に対して同じ薬剤クラス内で価格のもっとも低い参照薬剤が調剤された割合が高いこと(確率における差 7.0 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 4.0~9.9),処方 1 件につき支払われた価格の平均が低いこと(-13.9%,95% CI -23.8~-2.7),患者が自己負担した割合がより高いこと(5.2%,95% CI 0.2~10.4)に関連していた.導入後最初の 18 ヵ月間は,雇用主の支出は対照群と比較して 134 万ドル低く,被雇用者の自己負担額は 12 万ドル高かった.
米国における参照価格制度の導入は,雇用主提供医療保険が適用される患者集団における薬剤の選択および支出の有意な変化に関連していた.(米国医療研究・品質局,Genentech 財団から研究助成を受けた.)