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August 31, 2017 Vol. 377 No. 9

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未治療 ALK 陽性非小細胞肺癌におけるアレクチニブとクリゾチニブとの比較
Alectinib versus Crizotinib in Untreated ALK-Positive Non–Small-Cell Lung Cancer

S. Peters and Others

背景

高選択性未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害薬アレクチニブは,ALK 陽性非小細胞肺癌(NSCLC)の治療において,全身および中枢神経系(CNS)に対する有効性が示されている.われわれは,無症候性の CNS 転移を有する患者を含む,未治療進行 ALK 陽性 NSCLC 患者を対象に,アレクチニブとクリゾチニブとを比較検討した.

方 法

無作為化非盲検第 3 相試験で,未治療進行 ALK 陽性 NSCLC 患者 303 例を,アレクチニブ(600 mg を 1 日 2 回)を投与する群とクリゾチニブ(250 mg を 1 日 2 回)を投与する群に無作為に割り付けた.試験医師の評価による無増悪生存を主要エンドポイントとした.独立判定委員会の評価による無増悪生存,CNS 転移までの期間,客観的奏効率,全生存を副次的エンドポイントとした.

結 果

追跡期間中央値 17.6 ヵ月(クリゾチニブ群)と 18.6 ヵ月(アレクチニブ群)のあいだに,病勢進行または死亡はアレクチニブ群 152 例中 62 例(41%),クリゾチニブ群 151 例中 102 例(68%)に発生した.試験医師の評価による無増悪生存率は,アレクチニブ群のほうがクリゾチニブ群よりも有意に高く(12 ヵ月無イベント生存率:アレクチニブ群 68.4% [95%信頼区間 {CI} 61.0~75.9] 対 クリゾチニブ群 48.7% [95% CI 40.4~56.9],病勢進行または死亡のハザード比 0.47 [95% CI 0.34~0.65],P<0.001),アレクチニブ群は無増悪生存期間中央値未到達であった.独立判定委員会の評価による無増悪生存の結果は主要エンドポイントの結果と一致した.CNS 転移はアレクチニブ群では 18 例(12%)に発生したのに対し,クリゾチニブ群では 68 例(45%)に発生した(原因別ハザード比 0.16,95% CI 0.10~0.28,P<0.001).奏効はアレクチニブ群 126 例(奏効率 82.9%,95% CI 76.0~88.5)とクリゾチニブ群 114 例(奏効率 75.5%,95% CI 67.8~82.1)に認められた(P=0.09).グレード 3~5 の有害事象の発現率は,アレクチニブ群のほうが低かった(41% 対 クリゾチニブ群 50%).

結 論

ALK 陽性 NSCLC の初回治療において,アレクチニブはクリゾチニブよりも有効性に優れ,毒性が低かった.(F. Hoffmann–La Roche 社から研究助成を受けた.ALEX 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02075840)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 829 - 38. )