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January 18, 2018 Vol. 378 No. 3

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卵巣癌における腹腔内温熱化学療法
Hyperthermic Intraperitoneal Chemotherapy in Ovarian Cancer

W.J. van Driel and Others

背景

新規に診断された進行卵巣癌の治療では通常,腫瘍減量手術と全身化学療法が行われる.III 期の上皮性卵巣癌に対し術前補助化学療法を受けている患者において,中間期腫瘍減量手術に腹腔内温熱化学療法(HIPEC)を追加することで転帰が改善するかどうかを検討するための試験を行った.

方 法

多施設共同非盲検第 3 相試験で,カルボプラチン(曲線下面積 5~6 mg/mL/分)とパクリタキセル(175 mg/m2)の投与を 3 サイクル行った後に病勢安定以上であった 245 例を,中間期腫瘍減量手術に,シスプラチン(100 mg/m2)による HIPEC を追加する群と追加しない群に無作為に割り付けた.無作為化は,手術で肉眼的病変は切除可能と判断された症例(完全腫瘍減量手術),または術後に径 10 mm 以下の腫瘍が 1 つ以上残存すると判断された症例(最善の腫瘍減量手術)において,手術が施行可能と判定された時点で行った.術後に,カルボプラチンとパクリタキセルの投与をさらに 3 サイクル行った.無再発生存を主要評価項目とした.全生存と副作用プロファイルを主な副次的評価項目とした.

結 果

intention-to-treat 解析で,再発または死亡は,腫瘍減量手術に HIPEC を追加しなかった群(手術群)の 123 例中 110 例(89%)と,腫瘍減量手術に HIPEC を追加した群(手術+HIPEC 群)の 122 例中 99 例(81%)に発生した(再発または死亡のハザード比 0.66,95%信頼区間 [CI] 0.50~0.87,P=0.003).無再発生存期間中央値は手術群 10.7 ヵ月,手術+HIPEC 群 14.2 ヵ月であった.追跡期間中央値 4.7 年の時点で,手術群の 76 例(62%)と手術+HIPEC 群の 61 例(50%)が死亡していた(ハザード比 0.67,95% CI 0.48~0.94,P=0.02).全生存期間中央値は手術群 33.9 ヵ月,手術+HIPEC 群 45.7 ヵ月であった.グレード 3 または 4 の有害事象が発現した患者の割合は 2 群で同程度であった(手術群 25%,手術+HIPEC 群 27%,P=0.76).

結 論

III 期の上皮性卵巣癌患者において,中間期腫瘍減量手術に HIPEC を追加することにより,手術単独と比較して無再発生存期間と全生存期間が延長したが,副作用の発現率が高くなることはなかった.(オランダ対がん協会から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00426257,EudraCT 登録番号 2006-003466-34)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 230 - 40. )