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February 1, 2018 Vol. 378 No. 5

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小児および若年成人の B 細胞性リンパ性白血病患者に対するチサゲンレクルユーセル
Tisagenlecleucel in Children and Young Adults with B-Cell Lymphoblastic Leukemia

S.L. Maude and Others

背景

単一施設の第 1・2a 相試験で,再発または難治性の B 細胞性急性リンパ性白血病(ALL)の小児および若年成人において,抗 CD19 キメラ抗原受容体(CAR)発現 T 細胞療法であるチサゲンレクルユーセル(tisagenlecleucel)は完全寛解率が高く,治療に伴う毒性は重篤であったが大半は可逆的であった.

方 法

25 施設の単一コホートで,再発または難治性の CD19 陽性 B 細胞性 ALL の小児および若年成人を対象に,チサゲンレクルユーセルの国際共同第 2 相試験を行った.3 ヵ月以内の全寛解率(完全寛解または造血回復が不十分な完全寛解の割合)を主要エンドポイントとした.

結 果

計画された解析に対して,75 例がチサゲンレクルユーセル投与を受け,有効性を評価しえた.3 ヵ月以内の全寛解率は 81%で,フローサイトメトリーにより評価した微小残存病変は,治療効果が認められた全例で陰性であった.無イベント生存率と全生存率は,6 ヵ月の時点でそれぞれ 73%(95%信頼区間 [CI] 60~82)と 90%(95% CI 81~95)であり,12 ヵ月の時点で 50%(95% CI 35~64)と 76%(95% CI 63~86)であった.寛解持続期間中央値は未到達であった.チサゲンレクルユーセルの血中の残存は最長 20 ヵ月間認められた.チサゲンレクルユーセルとの関連が疑われたグレード 3 または 4 の有害事象は患者の 73%で発現した.サイトカイン放出症候群が患者の 77%で出現し,うち 48%にトシリズマブが投与された.神経学的イベントは患者の 40%で出現して支持療法で管理され,脳浮腫は報告されなかった.

結 論

CAR T 細胞療法の国際共同試験で,再発または難治性の B 細胞性 ALL の小児および若年成人に対して単回注入するチサゲンレクルユーセルは,血中に長期残存し,寛解が持続した.毒性は一過性のグレードの高いものであった.(Novartis Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02435849)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 439 - 48. )