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February 22, 2018 Vol. 378 No. 8

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出生時からのロタウイルスを標的としたヒト新生児ロタウイルスワクチン(RV3-BB)
Human Neonatal Rotavirus Vaccine (RV3-BB) to Target Rotavirus from Birth

J.E. Bines and Others

背景

生後早期のロタウイルス胃腸炎の予防を目指すにあたり,出生時に新生児ロタウイルスワクチンを接種する戦略によって,世界規模でのロタウイルスワクチンの導入を阻むいくつかの障壁に取り組むことができる可能性がある.

方 法

インドネシアで,ロタウイルス胃腸炎の予防におけるヒト新生児経口ロタウイルスワクチン(RV3-BB)の有効性を評価するための無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.健常新生児を,RV3-BB の接種 3 回を新生児スケジュール(生後 0~5 日,8 週,14 週)で行う群,乳児スケジュール(生後 8 週,14 週,18 週)で行う群,プラセボを接種する群に割り付けた.接種はプラセボを含めて全 4 回行い,接種指定期間内にすべての接種を受けた例のみから成る per-protocol 集団を主要解析の対象とし,無作為化された全例から成る intention-to-treat 集団を副次的解析の対象とした.

結 果

per-protocol 集団 1,513 例のうち,生後 18 ヵ月までに重症ロタウイルス胃腸炎を発症した割合は,プラセボ群 5.6%(504 例中 28 例),新生児スケジュール群 1.4%(498 例中 7 例),乳児スケジュール群 2.7%(511 例中 14 例)であった.これに基づくワクチン有効性は,新生児スケジュール群が 75%(95%信頼区間 [CI] 44~91,P<0.001),乳児スケジュール群が 51%(95% CI 7~76,P=0.03),新生児スケジュール群・乳児スケジュール群を併せた群(ワクチン併合群)が 63%(95% CI 34~80,P<0.001)であった.intention-to-treat 解析(1,649 例)でも同様の結果がみられ,ワクチン有効性は,新生児スケジュール群が 68%(95% CI 35~86,P=0.001),乳児スケジュール群が 52%(95% CI 11~76,P=0.02),ワクチン併合群が 60%(95% CI 31~76,P<0.001)であった.血清免疫反応または便中の RV3-BB 排出に基づくワクチン効果は,新生児スケジュール群の 83 例中 78 例(94%),乳児スケジュール群の 84 例中 83 例(99%)に認められた.有害事象の発現率は全群で同程度であった.腸重積は,ワクチンまたはプラセボの接種後 21 日間のリスク期間中には認められず,乳児スケジュール群で 3 回目のワクチン接種後 114 日の時点で 1 件認められた.

結 論

インドネシアで,RV3-BB を新生児スケジュールまたは乳児スケジュールで接種した場合,重症ロタウイルス胃腸炎の予防に有効であった.(ビル&メリンダ・ゲイツ財団ほかから研究助成を受けた.Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12612001282875)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 719 - 30. )