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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

July 5, 2001
Vol. 345 No. 1

ORIGINAL ARTICLES

  • 帝王切開の既往を有する女性における分娩中の子宮破裂のリスク
    Risk of Uterine Rupture during Labor among Women with a Prior Cesarean Delivery

    帝王切開の既往がある女性の多くが,経腟分娩を試みるが,子宮破裂リスクの上昇の可能性が懸念されている.この大規模な研究は,帝王切開の既往が初産時に一度あり,単生児の第二子を出産した女性 20,095 例を対象とした.自然分娩と誘発分娩,とりわけプロスタグランジンによる誘発分娩が,子宮破裂のリスク上昇と関連していた.

    この研究は,帝王切開の既往後に経腟分娩を試みる女性で子宮破裂の可能性がより高まり,プロスタグランジンを用いた誘発ではリスクがとりわけ高くなるという,重大な知見を示している.ミソプロストールが広く利用可能になったのは,研究の最終年になってからのことであり,今回の結果は,分娩誘発にミソプロストールや他のプロスタグランジンを利用する際の注意の必要性を訴えている.

  • ファブリー病患者における遺伝子組換えヒト α-ガラクトシダーゼ A 補充療法
    Recombinant Human α-Galactosidase A Replacement Therapy in Patients with Fabry's Disease

    ファブリー病患者における遺伝子組み換えヒト α-ガラクトシダーゼ A 補充療法

    ファブリー病は,リソソーム α-ガラクトシダーゼ A 欠損が原因で生ずる X 染色体関連先天性代謝異常であり,腎臓,心臓,脳におけるグリコスフィンゴリピドの進行性蓄積による微小血管病変が原因で,早期死亡に結び付く.この無作為割付け,多施設,二重盲検臨床試験では,ファブリー病患者 58 例が,遺伝子組換えヒト α-ガラクトシダーゼ A かプラセボの投与を受けた.補充療法により,グロボトリアオシルセラミドの微小血管沈着が消失し,血漿濃度も低下するという結果であった.

    遺伝子組換えヒト α-ガラクトシダーゼ A 補充療法により,ファブリー病にみられる多くの病変が改善するため,障害や早期死亡の予防が可能かもしれない.

  • 家族性片麻痺性片頭痛と神経細胞のカルシウムチャネルにおける突然変異との関連
    Familial Hemiplegic Migraine Associated with Mutations in a Neuronal Calcium Channel

    家族性片麻痺性片頭痛と神経細胞のカルシウムチャネルにおける突然変異との関連

    家族性片麻痺性片頭痛は,片麻痺の発作に続く片頭痛を特徴とする,常染色体優性疾患である.一部の患者では,失調や眼振,他の持続性小脳徴候などの徴候を示す場合がある.罹患家族の約半数に,神経細胞のカルシウムチャネルをコードする遺伝子である CACNA1A の突然変異が存在する.CACNA1A の突然変異を伴う患者 117 例を対象とするこの研究では,特定の臨床徴候が,突然変異の性質によって,部分的に説明しうることが認められた.

    この研究は,家族性片麻痺性片頭痛の一部の症例において,神経細胞のカルシウムチャネルをコードする遺伝子の突然変異が原因である可能性を確認している点で興味深い.この論文の知見はまた,臨床徴候の多様性が,突然変異が存在する遺伝子部位の相違によって説明しうることも示している.

BRIEF REPORT

  • 心ファブリー病に対するガラクトース投与
    Galactose Infusions for the Cardiac Variant of Fabry's Disease

    心ファブリー病に対するガラクトース投与

    心筋症は,心ファブリー病の主要な特徴であり,α-ガラクトシダーゼ A の変異体は,酵素活性を一部有するものの,変形があり,急速に分解する.ガラクトースは,酵素の結合部位に結合することにより,酵素の変形を矯正し,グリコスフィンゴリピド沈着の酵素分解を可能にする.重度の心筋症による障害を伴うファブリー病の 1 例で,ガラクトース静注が奏効し,職場復帰が可能となった.

    この患者におけるガラクトース投与の劇的な治療効果は,蛋白の変異が原因で酵素活性が残存している他の遺伝性疾患でも,著者らが「シャペロン介在療法(chaperone-mediated therapy)」と表現する,今回と同様の治療が,奏効する可能性を示唆している.

CLINICAL PRACTICE

  • ホルモン補充療法
    Hormone-Replacement Therapy

    乳癌リスクの高くない 52 歳女性に,ほてりと睡眠障害がある.母親が乳癌の 58 歳女性に,骨密度減少がある.冠動脈血行再建術の既往がある 65 歳女性に,骨粗鬆症がある.それぞれの女性が,ホルモン補充療法を利用すべきか否か知りたがっている.この論文は,ホルモン補充療法の利益とリスクについて,とくに冠動脈心疾患との関連という難題に留意してまとめながら,意思決定の方法を示している.

MEDICAL PROGRESS

  • C 型肝炎ウイルス感染
    Hepatitis C Virus Infection

    C 型肝炎ウイルス感染

    世界で約 1 億 7,000 万人が C 型肝炎ウイルスに感染している.C 型肝炎ウイルスは通常,進行性肝疾患を引き起し,肝移植の主因となり,肝細胞癌を帰結することがある.インターフェロン α とリバビリンの併用は,有望な新規の治療法である.