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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

August 30, 2001
Vol. 345 No. 9

  • 院外でのてんかん様状態に対するロラゼパム,ジアゼパム,およびプラセボの比較
    A Comparison of Lorazepam, Diazepam, and Placebo for Out-of-Hospital Status Epilepticus

    救命救急士は,痙攣やてんかん様状態の患者を治療することが多い.この研究は,病院外でてんかん様状態を発症した成人患者において,救命救急士の投与するロラゼパムやジアゼパムが,プラセボと比べて効果的か否かを検討した.どちらのベンゾジアゼピンもプラセボよりも安全で効果的であり,ロラゼパムのほうが,ジアゼパムよりも優れた治療法のようであった.

    病院外でのベンゾジアゼピンの静注投与に関する懸念の一つは,患者に呼吸抑制などの合併症が生ずる可能性である.合併症がプラセボ群においてより多い傾向があり,痙攣の管理がロラゼパム群とジアゼパム群においてより優れていたという今回の知見は,救急医療サービスシステムが,てんかん様状態の患者に対して,ベンゾジアゼピン治療の使用を考慮しうることを示唆している.

    • 切除可能直腸癌に対する術前放射線療法と直腸間膜全摘術の併用
      Preoperative Radiotherapy plus Total Mesorectal Excision for Resectable Rectal Cancer

      切除可能直腸癌に対する術前放射線療法と直腸間膜全摘術の併用

      この多施設臨床試験では,1,800 例を超える直腸癌患者に対して,単独の直腸間膜全摘術か,術前放射線療法後における直腸間膜全摘術の,どちらかを行った.術後 2 年後における局所再発率は,術前放射線療法併用群が 2.4%,単独手術群が 8.2%であった.生存率は 2 群間で同等であった.

      米国では,直腸癌により年間約 9,000 人が死亡している.切除可能腫瘍に対する望ましい治療は直腸間膜全摘術だが,この複雑な手術をしても,再発率は 45%に及ぶことがある.臨床試験に参加した外科医が特別な指導と監督を受けると,局所再発率は低下した.術前放射線療法により,局所再発率はさらに低下した.

      • 静脈瘤再出血の予防
        Prevention of Recurrent Variceal Bleeding

        静脈瘤再出血の予防

        食道静脈瘤出血の既往患者は,再出血のリスクが高い.食道静脈瘤出血で入院した肝硬変患者 144 例を対象とするこの研究では,内視鏡的結紮術と,薬物療法(ナドロールと一硝酸イソソルビド)を比較した.出血の再発に対して,併用薬物療法は内視鏡的結紮術より効果的であり,重大な合併症の発現率もより低かった.生存率には差がなかった.

        急性出血の管理が確立したあとでは,食道静脈瘤出血の再発リスクがある患者に対して,薬物療法は結紮術よりもおそらく優れている.利益の可能性がもっとも大きいのは,治療に対して,肝静脈圧勾配の顕著な低下で示される血行力学反応を認めた患者である.

        • 丸ごと細胞百日咳ワクチンや MMR ワクチン接種後の痙攣のリスク
          The Risk of Seizures after Receipt of Whole-Cell Pertussis or MMR Vaccine

          このコホート研究は,四つの大規模な民間健康保健医療団体で行われ,ジフテリアと破傷風のトキソイドおよび丸ごと細胞百日咳(DTP)ワクチンの接種を受けた小児 340,386 例と,麻疹,流行性耳下腺炎,および風疹(MMR)ワクチンの接種を受けた 137,457 例の小児を対象に含めた.DTP ワクチン接種は,接種当日についてのみ,熱性痙攣のリスクの上昇と関連していた.一方,MMR ワクチン接種は,8~14 日後のリスクの上昇と関連していた.

          研究者らは,小児 100,000 人当り約 6~9 件の熱性痙攣が DTP ワクチン接種に起因し,100,000 人当り約 25~34 件が MMR ワクチンに起因するものであることを見出した.ワクチンに関係する熱性痙攣が生じた小児において,発達障害のリスクの上昇はなかった.ワクチンの利益は,痙攣による障害をはるかに上回っている.

          • 平日との比較における週末に入院した患者の死亡率
            Mortality among Patients Admitted to Hospitals on Weekends as Compared with Weekdays

            病院の職員配置の水準は,往々にして平日より週末のほうが低い.しかし,週末に入院した患者の死亡リスクが高いか否かは明らかでない.カナダ・オンタリオ州の 300 万件を超える緊急入院に関するこの研究では,あらかじめ評価対象に決めておいた 3 種類の重症疾患すべての死亡率が,平日の入院患者よりも週末の入院患者で高かった.

            一部の生死にかかわる病態の患者では,週末に入院すると,平日に入院するよりも,死亡率が高い.この研究では職員配置の水準の影響を検討していないが,急性期治療病院における週末の職員配置の減少が,一因かもしれない.

            • 医学の進歩:胃食道静脈瘤出血
              Medical Progress: Gastroesophageal Variceal Hemorrhage

              医学の進歩:胃食道静脈瘤出血

              肝硬変と門脈圧亢進症の重篤な合併症であるこの疾患は,上部消化管出血全例の 10~30%を占め,初回エピソードの約 30%が致死的である.静脈瘤出血の一次予防と二次予防や,活動性出血の治療において,大きな進歩が生じている.この論文では,βブロッカー,硝酸塩,オクトレオチドの使用などの薬物治療と,内視鏡的アプローチや経頸静脈的肝内門脈静脈短絡術などの手技的介入法について概説している.