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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

March 28, 2002
Vol. 346 No. 13

ORIGINAL ARTICLES

  • 急性心筋梗塞における血管形成術とステント留置との比較
    Angioplasty versus Stenting in Acute Myocardial Infarction

    急性心筋梗塞における血管形成術とステント留置との比較

    急性心筋梗塞患者では,最初に冠動脈形成術を行うことが標準的な再灌流法とされてきた.それでもなお,その施行は再狭窄と再閉塞の高い割合によって制限されている.この試験では,糖蛋白 IIb/IIIa 阻害薬であるアブシキシマブの併用または非併用で,血管形成術とステント留置を比較している.ステント留置(単独でもアブシキシマブとの併用でも)は,血行再建の再施行の必要性を低減するという点で,標準的なバルーン血管形成術(単独でもアブシキシマブとの併用でも)より優れていた.
    この試験は,急性心筋梗塞患者に対する再灌流療法に新しい基準を設定するであろう.経験を積んだ医療機関では,冠動脈ステント留置は,アブシキシマブの併用・非併用にかかわらず,再灌流の標準的なアプローチとなるべきである.

  • エストロゲン受容体多型とエストロゲン補充の高比重リポ蛋白コレステロールに対する効果
    Estrogen-Receptor Polymorphisms and Effects of Estrogen Replacement on High-Density Lipoprotein Cholesterol

    エストロゲン受容体多型とエストロゲン補充の高比重リポ蛋白コレステロールに対する効果

    エストロゲン受容体 α(ER-α)遺伝子における塩基配列変異は,ホルモン補充療法に対する個々の患者の反応に重要であるかもしれない.「エストロゲン補充およびアテローム性動脈硬化に関する試験」に登録された女性 309 例で ER-α 多型が解析され,これらの多型と,ホルモン補充療法に対する高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールの反応との関連が検討された.イントロン 1 に DNA 配列変異を有する女性は,他の遺伝子型を有する女性と比較して,ホルモン補充療法中の HDL コレステロールの反応がもっとも高かった.
    これらの遺伝子型のエストロゲン受容体機能に対する特定の効果は明らかではないが,このデータは,ホルモン補充療法に関する決定を患者個人に合わせるために遺伝子スクリーニングを用いることの可能性を示している.

  • 癌手術後のエノキサパリンによる血栓予防の継続期間
    Duration of Enoxaparin Thromboprophylaxis after Surgery for Cancer

    癌のために腹部手術を受けた患者は,どれくらいの期間血栓予防をすべきだろうか? この問題を検討するため,患者 332 例に術後約 8 日間エノキサパリンが投与され,さらに 3 週間プラセボまたはエノキサパリンの投与に無作為に割付けた.投与終了時に全患者の静脈造影を実施した.プラセボ群の 12.0%,エノキサパリン群の 4.8%に静脈血栓塞栓症が発症した.
    癌は血栓傾向の主因であり,癌の手術は静脈血栓症のリスクをさらに増加させる.このよくデザインされた試験から得られる証拠は,癌の腹部または骨盤手術後に少なくとも 4 週間血栓症予防を行うことを支持している.

SPECIAL ARTICLE

  • Special Article:9 月 11 日のテロ攻撃の精神的後遺症
    Special Article: Psychological Sequelae of the September 11 Terrorist Attacks

    Special Article:9 月 11 日のテロ攻撃の精神的後遺症

    このマンハッタン住民に対する電話調査は,世界貿易センターへのテロ攻撃の 5~9 週間後に実施された.急性心的外傷後ストレス障害(PTSD)の罹患率は 7.5%,うつ病の罹患率は 9.7%であった.世界貿易センターの近くの住人の PTSD 罹患率は 20.0%であった.
    この調査で報告された罹患率は,一般集団で予想される PTSD とうつ病の罹患率に比べて約 2 倍高い.これらの精神的後遺症の負担は,世界貿易センターへのテロ攻撃直後には,相当なものであった.

CLINICAL PRACTICE

  • Clinical Practice:慢性閉塞性肺疾患の急性増悪
    Clinical Practice: Acute Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease

    Clinical Practice:慢性閉塞性肺疾患の急性増悪

    慢性閉塞性肺疾患の既往を有する 68 歳の元ヘビースモーカーが,呼吸困難の悪化と膿性痰の量の増加が 2 日間続いたことから,救急外来にきた.胸部 X 線では,過膨張が認められたが,急性の浸潤は認められなかった.患者が大気呼吸中の動脈血ガスの測定では,急性呼吸性アシドーシスが認められた.この患者をどのように治療すべきだろうか?
    この論文は,慢性閉塞性肺疾患の増悪の短期的管理について概説する.

REVIEW ARTICLE

  • 医学の進歩:免疫性血小板減少性紫斑病
    Medical Progress: Immune Thrombocytopenic Purpura

    医学の進歩:免疫性血小板減少性紫斑病

    免疫性血小板減少性紫斑病は,出血を起すことがあり,典型的には血小板糖蛋白質 IIb/IIIa 複合体に対する抗体によって引き起される.この疾患の管理は小児と成人で異なるため,この最新の総説において,著者らは 2 つの年齢群でセクションを分けている.管理の進歩に加えて,病態生理学に関する現在の理解,とくに血小板に対する自己抗体がどのようにして作られるかについても論じている.

SOUNDING BOARD

  • Sounding Board:心肺蘇生術中に家族は立ち合うべきか?
    Sounding Board: Should Family Members Be Present during Cardiopulmonary Resuscitation?

    著者は,蘇生術中に家族が立ち合うことは必ずしも望ましいものではなく,また必ずしも可能ではないことを認めている.しかし,家族の希望に従って家族の立ち合いを許可する病院でのプログラムを支持している.著者は,医師や看護婦の態度がそのようなプログラムの確立に対する最大の障害であることに言及している.