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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 10, 2002
Vol. 346 No. 2

ORIGINAL ARTICLES

  • 腎結石の再発予防に対する食事療法
    Dietary Approaches to Prevention of Recurrent Kidney Stones

    腎結石の再発予防に対する食事療法

    シュウ酸カルシウム結石と高カルシウム尿症が再発した男性を対象としたこの無作為試験では,低カルシウム食と通常量のカルシウムを含むが動物性蛋白と食塩の量を制限した食事(通常カルシウム食)の有効性を比較した.5 年後,通常カルシウム食群 60 例のうち 12 例のみに結石再発が認められたのに対して,低カルシウム食群 60 例では 23 例で再発が認められた(通常カルシウム食群における再発の相対リスク,0.49;95%信頼区間,0.24~0.98;p=0.04).

    再発性腎結石症を予防するうえで,通常量のカルシウム摂取に動物性蛋白と食塩の摂取制限を組み合せると,カルシウム摂取制限より効果的である.

  • 転移性小細胞肺癌に対するイリノテカン+シスプラチン療法
    Irinotecan plus Cisplatin for Metastatic Small-Cell Lung Cancer

    転移性小細胞肺癌に対するイリノテカン+シスプラチン療法

    この無作為試験では,転移性小細胞肺癌の治療として,イリノテカン+シスプラチン療法とエトポシド+シスプラチン療法を比較した.イリノテカン+シスプラチン療法が有利となる有意差が生存率に認められたため,この試験を早期に中止した.

    今日もっとも有効とされる治療法でも,転移性小細胞肺癌患者で診断後 2 年生存するのは,10%にすぎない.日本での今回の臨床試験において,イリノテカン+シスプラチン療法を受けた患者の 2 年生存率は約 20%であった.このわずかではあるが重要な改善は,転移性小細胞肺癌の管理法を変えるであろう.

  • 進行した非小細胞肺癌に対する 4 種類の化学療法
    Four Chemotherapy Regimens for Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer

    進行した非小細胞肺癌患者を対象に,4 種類の併用化学療法レジメンを比較した.他の療法に比べて優れていると考えられる療法はなかった.1 年間の全生存率は 33%であった.カルボプラチンとパクリタキセルの併用療法は,他の療法に比べて毒性が低かった.

    癌による全死亡の約 1/3 が,非小細胞肺癌によるものである.病期の進行した非小細胞肺癌の患者の予後は非常に不良であり,多くの場合,化学療法を受けることなく,6 ヵ月以内に死亡してしまう.したがって,1/3 の患者を 1 年間生存させることのできる療法は熟考に値する.

  • 進行性骨異形成における GNAS1 遺伝子の不活性化突然変異
    Inactivating GNAS1 Mutations in Progressive Osseous Heteroplasia

    進行性骨異形成における <i>GNAS1</i> 遺伝子の不活性化突然変異

    まれな疾患である進行性骨異形成(POH)は,小児期に始り,機能障害を引き起す骨格筋および結合組織の骨化がその特徴である.広範囲な異所性骨形成に関連する別のまれな疾患であるオールブライト遺伝性骨異形成(AHO)と POH が共通の基盤を有する可能性が提唱されている.GNAS1 遺伝子のヘテロ接合性不活性化突然変異が AHO の原因となることが知られているので,POH 患者に GNAS1 遺伝子の突然変異があるかどうかを検討した.POH 発端者 18 例中 13 例に GNAS1 遺伝子のヘテロ接合性不活性化突然変異が検出されたが,それらはすべて欠損対立遺伝子を父親からのみ遺伝しており,父系インプリンティングと一致する知見が得られた.

    単一の家族で,同じ突然変異により POH か AHO かどちらかが発現し,表現型は,突然変異対立遺伝子の親からの由来と相関していた.

IMAGES IN CLINICAL MEDICINE

  • 気管支肺胞細胞癌
    Bronchoalveolar-Cell Carcinoma

    気管支肺胞細胞癌

    胸部 X 線検査および高解像度 CT により,経気管支生検および癌の診断が可能になった.

CURRENT CONCEPTS

  • 外傷後ストレス障害
    Post-Traumatic Stress Disorder

    外傷後ストレス障害

    2001 年 9 月 11 日のアメリカ同時多発テロ事件を受けて,医師たちは心理的外傷に苦しむ患者と向い合っている.この総説では,さまざまな外傷的出来事に続いて起ると考えられる過度の反応,すなわち外傷後ストレス障害(PTSD)について論じている.著者は,PTSD 症候群,その臨床的特徴,および生物学的見地からの研究結果を明確に述べ,また治療の必要な患者に対して,カウンセリングと薬物療法の両方について検討している.