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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

June 6, 2002
Vol. 346 No. 23

  • 冠動脈血行再建におけるシロリムス溶出ステント
    Sirolimus-Eluting Stent for Coronary Revascularization

    冠動脈血行再建におけるシロリムス溶出ステント

    冠動脈形成術やステント留置法が進歩しているにもかかわらず,再狭窄はいまだに臨床的成功を制限する重大な問題である.この研究では,単一の冠動脈病変に対しステント留置を受ける患者を対象として,シロリムス(ラパマイシン)で被覆した新しい冠動脈ステントと,標準的な(非被覆)ステントを比較した.6 ヵ月後の再狭窄率は,標準ステント群で 26.6%,シロリムスステント群では 0%であった.
    6 ヵ月後の追跡調査の結果は顕著であり,シロリムス溶出ステントがかなり有望であることを示唆している.しかし,結果の持続性を検討するにはより長期の追跡調査が不可欠であり,この新しい医療機器がより複雑な冠動脈病変を有する患者において有効かどうか判定することが必要であろう.

  • 40~49 歳の人におけるスクリーニング結腸鏡検査
    Screening Colonoscopy among Persons 40 to 49 Years of Age

    50 歳未満の結腸新生物の有病率は低いと考えられるため,結腸鏡による結腸新生物のスクリーニング検査は,現在,50 歳以上の人に推奨されている.この後ろ向き研究では,研究者らが,雇用主が後援したスクリーニング結腸鏡検査プログラムに参加した,40~49 歳の,連続した 906 名の記録を検討した.この群では癌は検出されなかったが,過形成性ポリープ,管状腺腫,または「進行した新生物」と評価される病変が,スクリーニング検査受診者の 21%に検出された.1 例の結腸癌を検出するためには,40~49 歳の人を,250 ~1,000 人スクリーニングする必要があることになる.
    これらのデータは,スクリーニング結腸鏡検査を 50 歳で開始するという勧告を強力に裏付けている.しかし,50 歳未満の人における結腸癌の発生率は 0%ではないため,これらの比較的まれな癌を発見するための,費用効果の高い方法を開発する研究が必要である.

  • 遺伝性アミロイドーシスの誤診
    Misdiagnosis of Hereditary Amyloidosis

    遺伝性アミロイドーシスの誤診

    生検で確認されたアミロイドーシスと免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスの推定診断によって,ロンドンの英国立アミロイドーシス・センター(National Amyloidosis Centre)に紹介された患者 350 例のうち,ほぼ 10%が実際にトランスサイレチン,アポリポ蛋白 A-I,リゾチームまたはフィブリノーゲン Aα鎖の遺伝的変異体が原因である遺伝性アミロイドーシスであった.これら患者の一部は,偶発性単一クローン性高ガンマグロブリン血症であった.
    この専門施設での驚くべき高頻度の遺伝性アミロイドーシスには,重要な臨床上の意味が含まれる.それは免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシスの一般的治療法である化学療法が,遺伝性アミロイドーシスでは禁忌であるためである.アミロイドーシス患者に併用化学療法の処方を行う前に,生検検体の免疫組織化学的分析あるいは遺伝子検査が必要であるかもしれない.

  • 先天梅毒の診断精度の改善
    Improving Diagnostic Accuracy in Congenital Syphilis

    先天梅毒の診断精度の改善

    梅毒女性から生まれ,子宮内や出産後に抗菌薬治療を受けなかった乳児 76 例のうち,17 例(22%)で脳脊髄液中にスピロヘータが検出された.中枢神経系感染のある乳児のほとんどが身体所見,X 線検査あるいは脳脊髄液の白血球数および VDRL 検査(梅毒綿状反応試験)等の従来の検査により同定可能であった.しかし,血清の IgM 免疫ブロット法および血清または血液のポリメラーゼ連鎖反応法の結果が,ウサギ感染性試験による中枢神経系感染の検出のさいのもっとも優れた予測指標であることが証明された.
    これらの結果は,Treponema pallidum に感染した乳児では中枢神経系の関与が一般的であることを示す.先天梅毒の乳児で中枢神経系の感染を同定することは困難であったが,検査結果が治療方針に影響するため,そのような検査は重要である.

  • Special Article:冠動脈疾患におけるアスピリンとクロピドグレルの費用効果
    Special Article: Cost Effectiveness of Aspirin and Clopidogrel in Coronary Disease

    アスピリンとクロピドグレルを単独あるいは組み合せて使用することで,冠動脈心疾患患者における心血管イベントの発生率が減少するが,これらの相対的な費用効果ははっきりしない.この研究において,アスピリン適格患者全例にアスピリンを使用することは,非常に費用効果比が高かった.それに対して,アスピリンの代りにあるいはアスピリンと共にクロピドグレルを使用することは,費用効果比が低かった.現在の価格では,クロピドグレルはアスピリンを服薬できない少数の患者に使用する場合にのみ費用効果比が高かった.
    クロピドグレル 75 mg 錠($3.22)は,アスピリン 325 mg 錠($0.04)の 80 倍の値段であり,そのためにクロピドグレルは費用効果比が低い.価格が 1 錠 $0.60 以下に下がった場合にのみ対費用効果が高くなる.別の観点が本誌今週号の“Editorial”で提示されている.

  • Clinical Practice:手根管症候群
    Clinical Practice: Carpal Tunnel Syndrome

    Clinical Practice:手根管症候群

    64 歳の女性の両手の橈側の指 3 本に,間欠性麻痺,刺痛,および灼熱痛が 3 ヵ月間続いている.患者はこれらの症状のために毎晩何度も目を覚ましている.母指球筋の萎縮はない.患者をどのように診断し,治療すべきであろうか?
    この論文では,手根管症候群の診断と管理を概説する.

  • Clinical Problem-Solving:診断はいまだ不明
    Clinical Problem-Solving: Diagnosis Still in Question

    Clinical Problem-Solving:診断はいまだ不明

    カリフォルニア州の牧場に住む 59 歳の男性に,3 週間の発熱と発疹の既往がある.アミノトランスフェラーゼ値は上昇していて,赤血球沈降速度は 125 mm/時である.