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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

June 13, 2002
Vol. 346 No. 24

  • 心不全における心臓の再同期療法
    Cardiac Resynchronization in Heart Failure

    心不全における心臓の再同期療法

    慢性心不全患者の約 1/3 は,心室内伝導遅延を有し,これが心筋収縮の同期異常とさらに進んだ臨床的障害を引き起す可能性がある.この臨床試験において患者を心房両心室ペースメーカーを用いた再同期療法群または対照群に無作為に割付けた.対照群と比較すると,再同期療法群では機能能力,QOL および駆出率が 6 ヵ月のあいだ改善していた.
    再同期療法は心不全患者においてかなり有望な治療法であるが,いくつかの制限がある.再同期療法はわずか 1/3 の患者にしか適用されず,複雑なペーシング装置の植込みを必要とし,それがさまざまな技術的問題や合併症と関連する可能性がある.この手技は,経験を積んだ施設に限ったほうがいいだろう.

  • 洞結節機能不全に対する心室ペーシングまたは両室ペーシング
    Ventricular Pacing or Dual-Chamber Pacing for Sinus-Node Dysfunction

    洞結節機能不全に対する心室ペーシングまたは両室ペーシング

    徐脈のため,永久ペーシングが必要な洞結節機能不全患者では,一室心室ペーシングと両室心房心室ペーシングが選択肢である.この無作為試験では,両群において主要エンドポイント(死亡または非致死性脳卒中)の頻度の有意差はみられなかった.しかし,両室ペーシング群は,心房細動および心不全に関連したエンドポイントの発生率がより少なく,また QOL もわずかに高かった.
    両室ペーシングは,一室心室ペーシングよりも高価で,技術的により複雑である.それにもかかわらず,両室ペーシングを用いた心房心室同期の維持は,洞結節機能不全患者における両室ペーシングの使用を正当化するに足る十分な付加的臨床効果をもたらす.

  • 妊娠中の抗レトロウイルス療法
    Antiretroviral Therapy during Pregnancy

    この報告では,妊娠中の抗レトロウイルス療法が未熟分娩(妊娠< 37 週)や他の有害転帰のリスク増加と関連するか否かを評価するために,1 型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)感染妊婦に関する 7 つの研究からのデータを統合して分析している.未熟分娩,低出生体重,低アプガースコア,死産は,抗レトロウイルス療法を受けたか否かにかかわらず,また女性の受けた治療が併用療法か単剤療法かにかかわらず,ほぼ同等であった.プロテアーゼ阻害剤を含まない療法と比較して,これらの薬物を含む併用療法は,複数の交絡因子で補正したところより大きな超低出生体重リスクと関連したが,この知見は少数の女性に基づくものであった.
    これらのデータは,併用抗レトロウイルス療法の使用は妊娠後期における早産や他の有害転帰のリスク増加とは関連しないという安心を与えている.超低出生体重リスクは,プロテアーゼ阻害剤を含む併用療法のほうが,含まない薬剤と比較してより高いようであるが,この知見には確認が必要であり,全体としてのリスクはこれらの薬剤で認識されている効果に対して小さいと思われる.

  • 術後感染予防のための鼻腔内ムピロシン
    Intranasal Mupirocin to Prevent Postoperative Infections

    この二重盲検試験では,黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)による創傷への感染率は,ムピロシン軟膏で治療を受けた患者(2.3%)とプラセボ対照群(2.4%)で同程度であった.しかし,患者 3,864 例の 23.1%が S. aureus を鼻腔に保菌していると同定され,これらの患者では,S. aureus 感染症が発生した患者は,ムピロシン群のほうがプラセボ群よりも少なかった(4.0% 対 7.7%,P=0.02).
    S. aureus の鼻腔保菌は一般的であり,保菌者は,菌を保有していない人に比べて,内科的あるいは外科的な侵襲性の処置後にブドウ球菌の感染症のリスクが高い.この大規模試験では,局所における抗菌薬治療の効果は保菌患者のサブグループでのみ認められた.

  • 薬物療法:妊娠中の HIV 感染の管理
    Drug Therapy: Management of HIV Infection in Pregnancy

    薬物療法:妊娠中の HIV 感染の管理

    全世界的に,1,600 万人を超える女性がヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染を抱えて生きている.毎年 60 万人の子供が感染し,そのほとんどが母子伝播である.この総説では,抗レトロウイルス療法,計画的な帝王切開による出産,授乳の代替法が利用可能な,先進国における妊娠中の HIV 感染の管理に焦点を置き,最良の転帰が得られる方法について議論する.
    分娩時および分娩後の母子のケアが HIV 伝播のリスクを減少させ,母親の健康を改善する.

  • Sounding Board:アフリカの孤児を援助するための地域活動への支援
    Sounding Board: Supporting Community Efforts to Assist Orphans in Africa

    AIDS 流行の結果,世界中で親を亡くした子供の数が増加している.アフリカはこの流行病の被害をもっとも強く受けており,何百万人もの子供が孤児となっている."Sounding Board" では,ジンバブエの病院で働く Foster 氏が問題の見通しを述べ,孤児を支援するために資源を効果的に分配するには,外部の支援組織が地域社会と協力しなければならないと論じている.