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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 17, 2002
Vol. 346 No. 3

  • 超低出生体重児が青年期を迎えた結果
    Outcomes in Young Adulthood for Very-Low-Birth-Weight Infants

    新生児集中治療室の導入後数年以内に生まれた超低出生体重児の生存者が現在青年となった.この研究では,超低出生体重児であった 242 人の参加者と正常体重児であった 233 人の対照群について,20 歳時における教育水準や他の結果を比較した.対照群と比較したところ,超低出生体重児群では教育到達度と IQ スコアがより低く,正常以下の身長や神経疾患を含む慢性疾患の割合がより高かった.しかし,飲酒や違法薬物の使用割合は正常体重群より低いと報告されており,男性では警察沙汰になる者の割合はより少なかった.
    超低出生体重児における神経発達の後遺症の割合は,1970 年代以降もほとんど変化しておらず,これらの知見は最近生まれた超低出生体重児と同等であると考えられる.

  • MRI で確認される異常と多発性硬化症による長期的障害
    Abnormalities on MRI and Long-Term Disability from Multiple Sclerosis

    多発性硬化症が示唆される,視神経炎または脳幹症候群や脊髄症候群を初診時にみられた 71 例の患者に対して,連続的な T2 強調磁気共鳴画像法(MRI)検査を実施した.平均追跡調査期間 14 年後には,初診時に MRI の結果が異常であった患者の 88%が多発性硬化症を発症し,これに対し,MRI の結果が正常であった患者では 19%であった.この経時的研究では,MRI で確認された病変の容積が,障害の程度と相関を示した.
    多発性硬化症の最初の徴候である神経学的症候群を有する患者における MRI 上での異常を,早期疾患修飾療法を行う患者の選抜に利用できるかもしれない.

  • 多発性硬化症慢性病変におけるオリゴデンドロサイト
    Oligodendrocytes in Chronic Lesions of Multiple Sclerosis

    多発性硬化症慢性病変におけるオリゴデンドロサイト

    多発性硬化症で死亡した患者 10 例の 48 慢性病変について詳細な検討が行われた.ほとんどの病変に,ミエリンを産生する細胞であるオリゴデンドロサイトが含まれていた.オリゴデンドロサイトの突起は脱髄化軸索に沿って伸展していたがミエリンを産生できていなかった.非常に長期間罹患していた患者を除いて,オリゴデンドロサイトの数は正常のようであった.
    この形態学的分析から,多発性硬化症では,ほとんどの慢性病変において十分な数のオリゴデンドロサイトが軸索に近接して存在していることが示された.今回の知見は,微小環境やミエリン新生を行う細胞と軸索との相互作用における要因のために,ミエリン再形成が行われないことを示唆している.

  • Clinical Practice:慢性蕁麻疹
    Clinical Practice: Chronic Urticaria

    Clinical Practice:慢性蕁麻疹

    日常的に全身性蕁麻疹出現し,3 ヵ月続いている 35 歳の女性が受診した.唇と舌の腫脹もみられ,それに伴って喉の緊張があった.この患者をどのように評価し,治療すべきだろうか?
    この論文では,慢性蕁麻疹と血管浮腫に対する治療法を概説する.慢性蕁麻疹は,6 週間以上続く蕁麻疹をいう.そのような患者のうち,半数に満たない症例で血管浮腫が発症する.ヒスタミン受容体拮抗薬,ロイコトリエン拮抗薬,コルチコステロイドなどさまざまな治療法が有効であると考えられる.難治性の症例にシクロスポリンを使用することは,いまだ実験的だと考えられる.この論文は診断と管理について実践的な情報を提供している.

  • 最近の概念:セリアックスプルー
    Current Concepts: Celiac Sprue

    最近の概念:セリアックスプルー

    セリアックスプルーは,あるいはグルテン性腸炎ともいわれるが,広範囲にわたる症状発現があり,これまで考えられていた以上によくある疾患である.新しい正確な血清検査法によりこの疾患の診断がより容易になり,臨床管理の計画に変化が生じた.

  • 医療研究における個人プライバシー
    Personal Privacy in Medical Research

    米国人は一般に医療研究を支援し奨励するが,個人の医療情報のプライバシーをより優先する事項ともする.1996 年の医療保険の携行性と責任に関する法律(Health Insurance Portability and Accountability Act)では,患者のプライバシーを保護する目的で医療情報の使用に新たな制限を課した.法令の副次的な影響は,臨床研究への適用である.“Legal Issues in Medicine”で,Annas は法令の法的支援および影響について検討しており,“Sounding Board”では,Kulynych と Korn が,法令により臨床研究の実施が一段と困難になり,費用がかかることになるだろうと論じている.