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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 24, 2002
Vol. 346 No. 4

  • 好中球減少症に持続性発熱を併発した患者に対する経験的抗真菌療法としてのボリコナゾール
    Voriconazole as Empirical Antifungal Therapy in Patients with Neutropenia and Persistent Fever

    この大規模多施設共同無作為試験では,持続性発熱と好中球減少症を併発した患者 837 例に対する経験的抗真菌療法として,第二世代トリアゾールであるボリコナゾールの効果をリポソーム型アムホテリシン B と比較した.複合転帰による治療成功率はほぼ同じであった:ボリコナゾール群では 26.0%,アムホテリシン B 群では 30.6%であった.ボリコナゾール群での真菌感染症の発生はより少なかった(1.9% 対 5.0%).
    ボリコナゾールは,アムホテリシン B 製剤の代替薬として受け入れられる可能性がある.ボリコナゾールでは,注射に伴う反応や腎毒性を示す所見がより少なかった.しかし,多くのボリコナゾール投与患者で,一過性の視覚変化や幻覚が報告された.

  • 多びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫の老齢患者に対するCHOP 化学療法と組み合せたリツキシマブ療法
    Rituximab in Combination with CHOP Chemotherapy for Diffuse Large-B-Cell Lymphoma in Elderly Patients

    多びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫の老齢患者に対するCHOP 化学療法と組み合せたリツキシマブ療法

    この臨床試験では,びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫の老齢患者において,シクロホスファミド,ドキソルビシン,ビンクリスチン,プレドニゾン(CHOP)の単独投与の効果を,リンパ腫細胞表面蛋白(CD20)に対するモノクローナル抗体であるリツキシマブを CHOP と組み合せた併用投与の効果と比較した.CHOP 単独群と比較して,CHOP+リツキシマブ併用群では,毒性の増加を伴わずによりよい結果が得られた.
    びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫に対する標準的治療法は CHOP 療法である.しかし 60 歳以上の患者における転帰は,これまで満足できるものではなかった.この厳密に行われた試験では,リツキシマブ追加の有益性は明らかであった.この結果は,非ホジキンリンパ腫の中でもっとも多くみられる型であるびまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫の治療を変えうるものである.

  • 無症候性言語修得前聴覚障害におけるコネキシン 30 遺伝子を含む欠失
    A Deletion Involving the Connexin 30 Gene in Nonsyndromic Prelingual Hearing Impairment

    先天性の常染色体劣性無症候性難聴患者のうち半数にのぼる患者は,ギャップ結合蛋白であるコネキシン 26(GJB2)をコードしている遺伝子に変異があり,残りの患者には同定可能な変異はこれまで認められていない.この研究で,1 つの GJB2 変異対立遺伝子をもつこの種の難聴患者が新規の 342kb 欠失を有しており,この欠失によって,別のギャップ結合蛋白であるコネキシン 30(GJB6)をコードしている遺伝子が切断されていることが認められた.被験者 33 例中 22 例では,GJB2 および GJB6 変異はともにヘテロ接合性で,2 例では GJB6 変異はホモ接合性であった.
    これらの結果は,難聴の遺伝的原因に対するわれわれの理解を深める.GJB2 GJB6 のいずれかのホモ接合性変異,または両遺伝子におけるヘテロ接合性変異は,言語修得前難聴を引き起すと考えられる.

  • 子宮収縮頻度と早産のリスク
    Frequency of Uterine Contractions and the Risk of Preterm Delivery

    子宮収縮頻度と早産のリスク

    無作為臨床試験で,携帯子宮収縮モニタリングが早産のリスク削減に有効であることを証明できなかったにもかかわらず,臨床診療では子宮収縮モニタリングが継続して行われている.この前向き研究では,女性 306 例(大半が早産の危険性が高いと考えられた)に,在胎 22~24 週から出産または 37 週目まで自宅で子宮収縮モニターを使用させた.35 週以前に出産する女性を効果的に判定する収縮頻度の閾値やその他の臨床的方法は存在しなかった.
    子宮収縮頻度の測定は,臨床上,早産の予測に有用ではない.

  • 薬物療法:片頭痛
    Drug Therapy: Migraine

    薬物療法:片頭痛

    片頭痛はよくみる疾患であり,ときに消耗性の疾患となる.この総説は,トリプタンを用いた薬物療法に重点を置き,片頭痛の疫学,病態生理学,予防および対症療法を述べている.

  • Case Records of the Massachusetts General Hospital:症例 3 - 2002
    Case Records of the Massachusetts General Hospital: Case 3-2002

    Case Records of the Massachusetts General Hospital:症例 3 - 2002

    17 歳の少年.食物摂取により増悪し,悪心を伴う腹痛のため入院.血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値は 119 U / L であった.

  • Sounding Board:臨床研究に対する社会の信用を維持する
    Sounding Board:Maintaining the Public Trust in Clinical Research

    さまざまな医学研究には財政上の利害の対立が存在する.最近まで,利害対立のために生じる多くの問題を解決する統一した取り組みは行われていなかった.米国医科大学協会は最近,組織的なものとは対照的に,個人的利害対立の処理に関するガイドラインを承認した.“Sounding Board”では,Kelch が,このガイドラインの多くの特徴を概説し,広く採用されることを促している.