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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

October 3, 2002
Vol. 347 No. 14

  • 急性一酸化炭素中毒に対する高圧酸素
    Hyperbaric Oxygen for Acute Carbon Monoxide Poisoning

    認知機能面の後遺症は,急性一酸化炭素中毒後によく起る.この二重盲検無作為試験では,高圧酸素室への 3 回の収容か,常圧酸素治療 1 回と常圧大気曝露 2 回を組み合せた治療のいずれかに被験者を割付けた.いずれも一酸化炭素曝露終了時から 24 時間以内に実施された.6 週間後の認知機能後遺症は,常圧酸素療法を受けた者(46.1%)よりも高圧酸素療法を受けた者において頻度が少なかった(25.0%,P=0.007).この差は,急性一酸化炭素中毒発症後 12 ヵ月後も維持された.
    急性一酸化炭素中毒後 24 時間以内の高圧酸素治療を標準的な治療とすべきである.

  • 身体虚弱な高齢者の機能低下の予防
    Prevention of Functional Decline in Frail, Elderly Persons

    身体虚弱な高齢者の機能低下の予防

    この無作為対照試験では,188 例の身体虚弱な高齢者を対象に,機能低下を予防するための自宅ベースプログラムの有効性を評価した.基礎的な身体能力の障害を改善することに重点をおいたこの理学療法を伴うプログラムは,教育的プログラムよりも効果的に,日常生活動作に関する障害の進行を遅延させた.
    身体能力の障害を対象とした自宅ベースの介入法は,身体虚弱な高齢患者の障害の進行を軽減できる可能性がある.しかしこの集団におけるナーシングホームでのケアの必要性を最終的に減らすことができるかどうかは依然として不明である.

  • 短報:血小板輸血後に生じたサルモネラ敗血症
    Brief Report: Salmonella Sepsis after a Platelet Transfusion

    短報:血小板輸血後に生じたサルモネラ敗血症

    2 例の患者が血小板輸血を受けたあと,サルモネラ敗血症を発症し,感染源は血小板ドナーのペットのヘビであることが突き止められた.このドナーは無症状であったが,ドナーのペットであるボアコンストリクターから Salmonella enterica 血清型 enteritidis が培養された.この単離株は敗血症患者 2 例から単離された菌株と同一であった.

  • Special Article:たばこ対策プログラムへの州の支出
    Special Article: State Expenditures for Tobacco-Control Programs

    Special Article:たばこ対策プログラムへの州の支出

    たばこ業界と州のあいだの法的和解の目標の 1 つは,公衆衛生の促進であった.この研究では,著者らはたばこ対策プログラムに対する州の支出を調査した.2001 年では,平均的な州はたばこ和解で 16,400 万ドルを受け取ったが,これら資金のわずか 6%しかたばこ対策プログラムに配分しなかった.また,疾病管理予防センター推奨のたばこ対策プログラムへの資金支出最低金額を超えていたのは,わずか 6 州にすぎなかった.たばこに関連した健康問題をより多く抱えている州で,プログラムへの資金がより高いことはなかった.
    州は,たばこ和解資金のわずかな割合しかたばこ対策プログラムに割当てていない.これらの知見は,たばこ和解が喫煙による罹患率や死亡率を減らす機会になっていないことを示唆している.

  • Special Article:喫煙者のための電話禁煙相談の実地における有効性
    Special Article: Real-World Effectiveness of a Telephone Quitline for Smokers

    Special Article:喫煙者のための電話禁煙相談の実地における有効性

    禁煙のための電話相談は臨床試験において有効であり,多くの州が「電話禁煙相談」を設立している.喫煙者 3,282 人に対するこの無作為試験は,カリフォルニア州の喫煙者支援相談の実際の有効性を評価するためデザインされた.無作為にカウンセリングに割付けられた喫煙者は,動機付け,自己効力,社会的支援,禁煙計画および喫煙再開防止に焦点をおいたカウンセリングを,最多 7 回受けた.追跡期間の 12 ヵ月では,禁煙率は電話カウンセリングを受けた被験者のほうが,自己啓発資料のみ受け取った被験者よりもやや高かった(7.5% 対 4.1%).
    電話禁煙相談に電話したほとんどの喫煙者が喫煙を続けている;しかし,電話カウンセリングは一部の喫煙者の禁煙を助けるのに有効であった.この試験ではプログラムの費用は評価しなかった.喫煙に伴う多大な疾病と費用を考えると,電話禁煙相談により得られた利益は,この弱い介入の費用を上回る可能性が大きい.

  • 薬物療法:小児の疼痛治療のための鎮痛薬
    Drug Therapy: Analgesics for the Treatment of Pain in Children

    幼児や小児における疼痛の治療は,年少者における鎮痛薬の使用方法について情報と理解が不足しているためしばしば不十分である.この総説では,侵害受容の発現,幼児・小児・成人間での鎮痛薬の代謝の違い,およびさまざまな環境で疼痛管理に使用できる薬物について議論している.
    幼児や小児でも,臨床での診療や用量において年齢による適切な調整が行われれば,安全に鎮痛薬や麻酔薬の投与を受けることができる.