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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

March 6, 2003
Vol. 348 No. 10

ORIGINAL ARTICLES

  • 大腸癌の既往がある患者の腺腫を予防するためのアスピリン
    Aspirin to Prevent Adenomas in Patients with a History of Colorectal Cancer

    この無作為二重盲検試験では,アスピリンを日常的に服用すると,大腸癌の既往がある患者で大腸ポリープの発生率が低下した.結腸鏡検査を受けたプラセボ群患者 258 例のうち 70 例でポリープが発見されたが,アスピリン群患者 259 例でポリープが発見されたのは 43 例であった.

    この前向き研究は,大腸腺腫の発生リスクが高い集団において,アスピリンが大腸ポリープのリスクを軽減できるという概念を証明する証拠を提示している.

  • 大腸腺腫予防のためのアスピリンの無作為試験
    A Randomized Trial of Aspirin to Prevent Colorectal Adenomas

    大腸腺腫の既往がある患者を,毎日のアスピリンまたはプラセボ投与のいずれかに無作為に割付けた.1 日に 81 mg のアスピリン投与を受けた群では,腺腫再発のリスクがプラセボ群と比較して 19%減少していた.325 mg の投与は有益ではなかった.

    アスピリンは,腺腫再発のリスクを減少させる.81 mg の投与が有益で 325 mg の投与が有益でない理由を説明するのはむずかしく,偶然による可能性がある.さまざまな健康上の転帰に関してアスピリンがもたらす長期的な利益とリスクがわかれば,日常的な使用について結論が出るはずである.

  • 経腟分娩または帝王切開後の尿失禁
    Urinary Incontinence after Vaginal Delivery or Cesarean Section

    地域住民コホートの女性 15,000 例以上で,帝王切開と経腟分娩の双方が後年の尿失禁リスク上昇に関連していた.さらに,年齢およびそのほかの考えられる交絡因子に対して補正を行ったところ,経腟分娩後は中等度または重度の尿失禁が起きる確率が帝王切開の 2 倍以上高かった.

    尿失禁リスクが,帝王切開後よりも経腟分娩後で高いという観察結果は,これらの分娩方法に関連する他のリスクおよび利益を考慮したうえで検討すべきである.

  • 青年における低身長の治療
    Treating Short Stature in Adolescents

    黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)作動薬治療により,思春期早発症児の成人身長が高くなる.この研究は,正常な時期に思春期に入った低身長青年の成人身長が LHRH 作動薬療法で高くなるかどうかを判定するために計画された.治療を受けた青年は,当初予測された成人身長と比較して,身長の標準偏差スコアが 0.6 増加した;しかし,骨塩密度は減少した.

    正常な時期に思春期に入った青年の低身長治療として,LHRH 作動薬を通常勧めることはできないと著者らは結論している.

GENOMIC MEDICINE

  • 遺伝性大腸癌
    Hereditary Colorectal Cancer

    遺伝性大腸癌

    大腸癌の家族性リスクを有する患者における大腸癌は,この疾患の症例の約 1/5 を占めている.多くの場合,リスクのある人の同定と,適切な結腸鏡スクリーニング検査の適用により予防できる.この論文は“Genomic Medicine”シリーズの一部で,家族性大腸癌でもっとも頻度の高い 2 タイプについて詳細な概説を行っている.

CURRENT CONCEPTS

  • 急性心筋梗塞における心電図
    The Electrocardiogram in Acute Myocardial Infarction

    この総説は,急性心筋梗塞患者の臨床ケアを促進するための心電図の利用について述べている.ST 上昇パターンの分析は,再灌流療法に関する決断を行ううえで役立つ可能性がある.不整脈と新たな伝導異常を正確に確認することは,重要な課題である.

SOUNDING BOARD

  • 選択的初回帝王切開
    Elective Primary Cesarean Delivery

    一部の女性は,出産時に帝王切開を選択する場合がある.この“Sounding Board”では,選択的帝王切開に関する賛否両論について概説している.著者らの結論によると,既存のデータは,この手法を必ず推奨することは支持していないが,十分な説明を受けた患者から帝王切開の要求があれば,医師が応じることを支持しているという.

    手術による出産に対する明白な適応症のない女性が,帝王切開を自由に選択できるようにすべきかどうかは,異論の多い問題である.著者らが指摘しているように,さらに多くのデータが必要ではあるが,この論文は,実施頻度の上昇に伴いされるようになった質問について,患者に助言するための有用な枠組みを提供している.