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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 27, 2003
Vol. 348 No. 9

ORIGINAL ARTICLES

  • 死亡の予測因子としての運動後の頻発性心室性期外収縮
    Frequent Ventricular Ectopy after Exercise as a Predictor of Death

    運動により誘発される心室性期外収縮は,死亡リスクの増大に関連していることが知られている.29,000 例以上の被験者を対象としたこの研究において,運動後の回復期に起る頻発性心室性期外収縮は,運動中の頻発性心室性期外収縮よりも 5 年死亡リスクの優れた予測因子であった.

    運動テストでは回復期の心臓モニタリングを慎重に行うべきであるということが,臨床上重要である.運動後の心室性不整脈に関する情報は,リスクの層別化に有用である.

  • 多発性大腸腺腫と MYH における生殖細胞系変異
    Multiple Colorectal Adenomas and Germ-Line Mutations in MYH

    この研究では,DNA 修復遺伝子である MYH の生殖細胞系変異と,劣性遺伝の多発性大腸腺腫および古典的大腸腺腫性ポリポーシスとの関連を調べた.MYH の両対立遺伝子に変異を有する多発性大腸腺腫患者は,変異を有しない患者よりもポリープが多く,大腸癌の頻度も高かった.

    MYH の生殖細胞系変異をスクリーニングすることは,MYH に変異があることがわかっている人の血縁者と同様に,多発性大腸腺腫や家族性大腸腺腫性ポリポーシスの患者にも適切であるかもしれない.

  • B 型肝炎 e 抗原陰性の B 型慢性肝炎に対する治療のためのアデホビル ジピボキシル
    Adefovir Dipivoxil for the Treatment of Hepatitis B e Antigen–Negative Chronic Hepatitis B

    B 型肝炎 e 抗原(HBeAg)陰性の B 型慢性肝炎は,進行性の肝障害と関連しており,長期的な治療を必要とする可能性が高い.この臨床試験では,アデホビル ジピボキシルを用いた 48 週間の治療により,肝の組織学的異常が改善した.また,耐性変異はみられなかった.

    肝臓の組織学的異常が改善し,耐性変異が生じないことは,アデホビル ジピボキシルが,長期の抗ウイルス療法を必要とする B 型慢性肝炎患者に有用である可能性を示唆している.

  • B 型肝炎 e 抗原陽性の B 型慢性肝炎に対する治療のためのアデホビル ジピボキシル
    Adefovir Dipivoxil for the Treatment of Hepatitis B e Antigen–Positive Chronic Hepatitis B

    この 48 週間のプラセボ対照無作為試験では,B 型肝炎 e 抗原(HBeAg)陽性の B 型慢性肝炎患者において,アデホビル ジピボキシルは,肝臓の組織学的異常を改善した.また,アデホビル耐性に関連する B 型肝炎ウイルスのポリメラーゼ遺伝子の変異は生じなかった.

    この試験は,アデホビル ジピボキシルが HBeAg 陽性の B 型慢性肝炎に対して有効であることを示している.この試験では,アデホビル ジピボキシルと他の治療法の比較は行わず,長期治療が有効かどうかも評価されていない.

SPECIAL ARTICLE

  • 成人ドナーからの生体肝移植
    Liver Transplantation from Living Donors in Adults

    成人ドナーからの生体肝移植

    この研究は,84 ヵ所の肝移植施設の調査に基づいて行われ,うち 42 施設が,1997~2000 年に成人生体ドナーから 449 件の移植を行ったと報告した.このような移植の件数はこの期間に顕著に増加し,現在この手技は,成人で行われるすべての肝移植の 5%を占めている.ドナーの死亡率は非常に低かったが,合併症発生率は低くはなかった.
    この手技には,右肝葉の切除と移植が必要である.この手技は,ドナーへのリスクがないわけではないが,肝移植プログラムにおいて臓器不足を解消し,この救命に役立つ可能性がある介入への,待ち時間を短縮するための方法の 1 つとして,地位を築いた.

CLINICAL PRACTICE

  • HIV への職業的曝露
    Occupational Exposure to HIV

    35 歳の採血技師が,後天性免疫不全症候群患者から末梢静脈血サンプルを採取したさいに,シリンジに取り付けられた血液の付いた 18 ゲージの注射針で怪我をした.患者は 6 ヵ月以上ジダノシンとスタブジンを使用しているが,定量的血漿中ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RNA 力価および CD4 T リンパ球数は何週間も測定されていない.この採血技師に対する適切な曝露後処置として,何を行えばよいだろうか?

SOUNDING BOARD

  • 患者の安全:教育病院における医療過誤を減らすための研修医の提案
    Patient Safety: Residents' Suggestions for Reducing Medical Errors in Teaching Hospitals

    著者らは,教育病院における医療過誤を減らすための方法として,簡単で費用のかからないものをいくつか提案している.その提案には,研修医が勤務を離れるさいに患者を申し送る手続きをコンピュータ化すること,カルテや医療用具の配置・構成の統一,そして研修医が処置を行うための訓練を“see one, do one, teach one(一度みたらやる,一度やったら教える)”という方針から,合理的なシステムに変更することが含まれている.