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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

November 6, 2003
Vol. 349 No. 19

ORIGINAL ARTICLES

  • 乳癌に対する 5 年間のタモキシフェン療法後のレトロゾール
    Letrozole after Five Years of Tamoxifen Therapy for Breast Cancer

    乳癌に対する 5 年間のタモキシフェン療法後のレトロゾール

    初期療法に成功した早期乳癌の閉経後女性が,エストロゲン受容体拮抗薬タモキシフェンによる治療を 5 年間受けている.このプラセボ対照試験では,5 年間のタモキシフェン療法後にアロマターゼ阻害薬レトロゾールを投与することが有益かどうかを検討した.プラセボ群に比べ,レトロゾール群で乳癌に関連するイベントの発生率が統計的に有意に減少したため,この試験は終了された.

    計画されていた中間解析の結果が,試験プロトコルの終了規定と一致した.追跡期間の中央値(2.4 年)は短いが,このデータから,研究者は参加者に結果を明かす確信を得た.

  • ウォルフ–パーキンソン–ホワイト症候群に対するカテーテルアブレーション
    Catheter Ablation in the Wolff–Parkinson–White Syndrome

    心電図上ウォルフ–パーキンソン–ホワイト(WPW)症候群を示す多くの無症候性の患者は,不整脈のリスクが低い.また一方,不整脈を誘発することのできるより若年の無症候性患者は,リスクがより高い可能性がある.この研究では,そのような患者に副伝導路のカテーテルアブレーションを予防的に行うことで,不整脈のリスクが大きく低減することが明らかになった.

    この知見は,無症候性 WPW 症候群患者の治療に影響を与えるであろう.すなわち,不整脈を誘発することのできる患者には予防的カテーテルアブレーションを考慮すべきである.

  • 散発性クロイツフェルト–ヤコブ病における神経外プリオン蛋白
    Extraneural Prion Protein in Creutzfeldt–Jakob Disease

    高感度な方法を使用することで,散発性クロイツフェルト–ヤコブ病患者の剖検から得られた脾臓検体と筋肉検体の約 1/3 で,異常プリオン蛋白が確認された.異常プリオン蛋白はこれまで,これらの患者の中枢神経系と嗅神経組織でのみ確認されていた.

    これらの剖検研究で同定された異常プリオン蛋白は微量であるが,この知見は,脳生検ではなく筋生検により,散発性クロイツフェルト–ヤコブ病の診断ができる可能性を示唆している.

BRIEF REPORT

  • 重症複合免疫不全症における CD3δ 欠損と α/β T 細胞系および γ/δ T 細胞系の成熟
    CD3δ Deficiency and Maturation of α/β and γ/δ T-Cell Lineages in Severe Combined Immunodeficiency

    T 細胞の欠損と正常数の B 細胞を特徴とする重症複合免疫不全症を呈する,近い血縁関係にある乳児 3 例が,CD3δ 遺伝子に同一の生殖細胞系変異を有することが明らかになった.この変異は,CD3δ 蛋白合成の阻害と,胸腺細胞の成熟 T 細胞への分化を早期に阻害することと関連していた.

    これら 3 例の患児における所見から,新しい型の重症複合免疫不全症が確認される.これらの所見は T 細胞成熟機構の解明に役立つものである.

CLINICAL PRACTICE

  • 緊急避妊
    Emergency Contraception

    健康な 19 歳の女性が,通常の予約診療で来院している.女性は,特定の相手と性行為を行っており,パートナーはほとんど常にコンドームを使用している.現在は妊娠を望んでいない.女性は最終月経後数回性交を行っており,その中には 4 日前の避妊をしていない性交も含まれている.尿妊娠検査は陰性である.緊急避妊薬を処方すべきであろうか?

MEDICAL PROGRESS

  • 植込み型除細動器
    Implantable Cardioverter–Defibrillators

    植込み型除細動器

    院外で心停止した場合,ほとんどの人は助からず,助かったとしても長期にわたり重大な認知・運動障害が生じる可能性がある.植込み型除細動器(ICD)はこのようなイベントを防ぐ可能性がある.この総説では,ICD の仕組み,その有効性に関する臨床研究,管理の問題について述べている.

    ICD は,再発する心停止患者に対する治療の最後の手段から,心停止の一次および二次予防において標準的な管理として使用されるまでに発展してきた.

SOUNDING BOARD

  • 臨床研究と NIH
    Clinical Research and the NIH

    8 年前,当時の米国国立衛生研究所(NIH)の所長 Harold E. Varmus 氏は,NIH ポートフォリオにおける臨床研究の現状を評価し,米国での生物医学研究活動に占めるこの部門の強化を提案する目的で委員会を開いた.この“Sounding Board”では,委員会の出した勧告の成果を検証している.