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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

November 27, 2003
Vol. 349 No. 22

ORIGINAL ARTICLE

  • 進行喉頭癌における臓器温存のための化学療法と放射線療法の同時併用
    Concurrent Chemotherapy and Radiotherapy for Organ Preservation in Advanced Laryngeal Cancer

    進行喉頭癌における臓器温存のための化学療法と放射線療法の同時併用

    進行喉頭癌の治療に関するこの無作為試験では,化学療法と放射線療法の同時併用が,化学療法後に放射線療法を行う治療法や放射線療法単独より優れていることが明らかとなった.
    1991 年,化学療法後に放射線療法を行うことで,喉頭癌患者の喉頭を切除する必要がなくなることを示した画期的な研究が本誌に発表された.今回の研究は,喉頭温存は化学療法と放射線療法を同時併用して治療することでもっともよく達成されることを示し,プロトコールがさらに洗練された.

  • 呼吸窮迫症候群の早産児における一酸化窒素
    Nitric Oxide in Premature Infants with the Respiratory Distress Syndrome

    呼吸窮迫症候群の早産児(妊娠 34 週目未満)を組み入れたこの無作為プラセボ対照試験では,一酸化窒素吸入を行うことで慢性肺疾患と死亡の発生率が有意に減少した.また,この治療法で,重度の脳室内出血および脳室周囲白質軟化症(未熟児の重大な合併症)の発生率が減少した.
    一酸化窒素吸入は,呼吸窮迫症候群の早産児に有益である可能性がある.

  • Lp(a)リポ蛋白と血管疾患
    Lp(a)Lipoprotein and Vascular Disease

    Lp(a)リポ蛋白は低比重リポ蛋白コレステロールの変異体であり,アテローム血栓症の病因に大きく関連している.この研究では,高齢の男女における脳卒中,血管性の原因による死亡,全死亡率の危険因子として,Lp(a)リポ蛋白を重点的に検証した.Lp(a)リポ蛋白濃度は,男性においてこれらのエンドポイントの独立した予測因子であったが,女性の場合は当てはまらなかった.
    Lp(a)リポ蛋白の測定は,高齢男性の血管系イベントの予測に有用である可能性があるが,高齢女性においては有用でないと考えられる.

SPECIAL ARTICLE

  • 米国における外科医の手術件数と 手術死亡率
    Surgeon Volume and Operative Mortality in the United States

    これまでの研究で,手術件数が多い病院では手術死亡率が低いことが示されている.手術件数が多い外科医が執刀した場合,8 種類の手技それぞれに関連する死亡率が低いことが,メディケアの管理データを用いたこの研究により明らかにされた.
    質を向上させる第一歩は,患者を手術件数の多い病院で受診させることである.各外科医が行った手術件数は,手術死亡率を左右するもう 1 つの重要な因子である.

CURRENT CONCEPTS

  • ST 部分上昇の原因
    Causes of ST-Segment Elevation

    ST 部分上昇の原因

    急性心筋梗塞以外の多くの病態でも心電図に ST 部分の上昇が起る.この総説は,急性心筋梗塞によく似た心電図を示す可能性のある疾患について説明している.心筋梗塞の患者に関しては,再灌流療法について迅速に判断する必要があるため,他の原因による ST 部分の上昇を認識し,鑑別することが重要である.

DRUG THERAPY

  • 過敏性腸症候群
    Irritable Bowel Syndrome

    過敏性腸症候群は,腹痛や腹部不快感を伴い,排便習慣の障害を特徴とする疾患で,成人のおよそ 8 人に 1 人が罹患している.この総説は,この疾患の患者に対する治療の選択肢について論じている.多くの場合は非薬物療法だけで十分である.また,便秘や下痢に対する非特異的な薬物療法のみならず,抗痙攣薬,抗うつ薬,セロトニン受容体拮抗薬,およびその他の薬物を用いたより特異的な治療法についても論じている.この疾患の治療には医師と患者の連携が重要である.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 微生物の検出に光明を投じる
    Shedding Light on Microbial Detection

    微生物の検出に光明を投じる

    病原体の迅速かつ正確な検出は,疾患を管理するうえできわめて重要である.最近の研究は,遺伝子を再構成した B リンパ球が,病原体を迅速に同定するための有望な道具であることを示している.