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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
August 14, 2003
Vol. 349 No. 7
This Week in the JOURNAL
ORIGINAL ARTICLES
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静脈血栓塞栓症の再発を予防するためのワルファリン療法の用量
Intensity of Warfarin Therapy to Prevent Recurrent Venous Thromboembolism出血リスクの低減を試みる中で最近,静脈血栓塞栓症再発予防のためのワルファリンによる抗凝固療法の用量を減らすという提案がある.この無作為試験により,低用量ワルファリン療法は,血栓塞栓症再発の予防において従来用量の治療法ほど有効ではないことが明らかにされた.そのうえ,低用量療法は出血の合併症のリスクを低減させなかった.
この研究は,低用量ワルファリン療法をこの臨床状況で使用することを支持していない. -
小児急性リンパ芽球性白血病の長期生存者
Long-Term Survivors of Childhood Acute Lymphoblastic Leukemia急性リンパ芽球性白血病の生存者で,10 年以上完全寛解状態にあり,放射線療法を受けていない生存者は,白血病再発のリスクはごくわずかであり,生存率は一般米国民と同等であった.頭蓋または頭蓋脊椎に対する放射線治療を受けた生存者は,健康保険の加入率,就労率,女性婚姻率がわずかに低かった.
急性リンパ芽球性白血病の治療を受けた人で,放射線療法を受けておらず,治療後 10 年以上健常な人は,この疾患が治癒したと考えるべきである. -
小児期または思春期に癌に罹患した生存者の精神障害による入院
Psychiatric Hospitalizations among Survivors of Cancer in Childhood or Adolescenceデンマークの全国規模調査では,小児期・思春期癌の生存者は,脳腫瘍の生存者を除き,その後の人生で重篤な精神障害に罹患しやすいという所見は得られなかった.
この大規模研究により,小児癌の生存者における重篤な精神の後遺症に関する,長く続いている懸念に休止符が打たれると考えられる. -
中等度~重度の慢性尋常性乾癬に対するメトトレキサートとシクロスポリンの比較
Methotrexate versus Cyclosporine for Moderate-to-Severe Chronic Plaque Psoriasisメトトレキサートとシクロスポリンは共に乾癬に有効な治療薬であるが,両者の相対的な有効性は明らかにされていない.この臨床試験では 2 種類の治療薬を比較し,両者の有効性は同程度であることが明らかになった.それぞれは,特異的であるが限られた副作用と関連していた.
中等度~重度の乾癬は,メトトレキサートとシクロスポリンに対して同程度,良好に反応する.各薬剤で起りうる副作用は,個々の治療決定において考慮されるべきである.
SPECIAL ARTICLE
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米国における臓器提供候補者数の推定
Estimating the Number of Potential Organ Donors in the United States臓器移植の待機者リストが長くなりつつある.この研究では,1997~99 年に,36 の臓器調達機関が受けもつ米国の各地域において,臓器提供候補者の数と実際の臓器提供の数を調査した.150 床以上の病院では,より小さな病院に比べて臓器提供候補者と実際の臓器提供者の割合が有意に高かった.19%の病院で,全臓器提供候補者の 80%を占めていた.
より大きな病院での同意取得手順を改善するために資金を投じれば,臓器摘出率が最大限になるであろう.
CLINICAL PRACTICE
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長期経口抗凝固薬療法の管理
Management of Long-Term Oral Anticoagulation糖尿病の 75 歳の男性に,慢性の心房細動が見付かり,血栓塞栓性脳卒中の予防のためにワルファリン療法が開始された.どのように抗凝固療法を開始し,管理すべきであろうか?
CURRENT CONCEPTS
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急性心タンポナーデ
Acute Cardiac Tamponade急性心タンポナーデは生命を脅かす可能性があり,迅速な心膜ドレナージを必要とする.この総説では,奇脈の診断所見のない症状や,低血圧タンポナーデや局所タンポナーデなどのさまざまな型を含む,タンポナーデの徴候について説明している.