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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

August 21, 2003
Vol. 349 No. 8

This Week in the JOURNAL

ORIGINAL ARTICLES

  • 心筋梗塞に対する冠動脈形成術と線溶療法との比較
    Coronary Angioplasty versus Fibrinolytic Therapy for Myocardial Infarction

    血管形成術の設備のある病院では,冠動脈形成術が急性心筋梗塞患者の血行再建へのより好ましいアプローチとされている.このデンマークでの試験では,はじめに血管形成術の設備のない病院に収容された患者を,その場で線溶療法を行う群と,血管形成術のために侵襲治療センターへ移送する群に無作為に割付けた.移送に時間がかかるにもかかわらず,血管形成術に割付けられた患者のほうが線溶療法群の患者よりも転帰が良好であった.

    心筋梗塞患者の血行再建については,血管形成術を標準的手法と考えるべきである.

  • 顆粒球コロニー刺激因子が 急性骨髄性白血病に対する 化学療法に及ぼす効果
    Effect of Granulocyte Colony-Stimulating Factor on Chemotherapy for Acute Myeloid Leukemia

    急性骨髄性白血病に対して化学療法と顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を併用したこの臨床試験は,化学療法薬に対する培養白血病細胞の感受性を高める G-CSF の能力に基づいていた.二段療法(「G-CSF プライミング」)を受けた患者は,化学療法のみを受けた患者に比べて転帰が優れていた.

    G-CSF プライミングは,余分な骨髄毒性を招くことなく化学療法の細胞毒性を増強させる新しい方法である.

BRIEF REPORT

  • 妊娠時に自然発生する卵巣過剰刺激症候群の原因としての FSH 受容体の突然変異
    A Mutation in the FSH Receptor as a Cause of Gestational Spontaneous Ovarian Hyperstimulation Syndrome

    この短報では,卵胞刺激ホルモン(FSH)受容体の膜貫通ドメインにヘテロ接合型突然変異のある家族における,妊娠時に自然発生する再発性の卵巣過剰刺激症候群について報告している.変異受容体は卵胞刺激ホルモンだけでなく,ヒト絨毛性ゴナドトロピンにも反応する.2 つ目の短報は,妊娠中に卵巣過剰刺激症候群を引き起す別の FSH 受容体突然変異について述べている.

    卵胞刺激ホルモン受容体が 2 つ以上のリガンドに反応する場合に,結果として卵巣過剰刺激症候群が起るのかもしれない.

  • FSH 受容体の突然変異による卵巣過剰刺激症候群
    Ovarian Hyperstimulation Syndrome Due to a Mutation in the FSH Receptor

    妊娠中に起る体内での絨毛性ゴナドトロピンの過剰産生は,自然発生する卵巣過剰刺激症候群と関連している.しかしこの症候群は,絨毛性ゴナドトロピンの量が正常な女性にも認められている.この短報は,自然発生する再発性の卵巣過剰刺激症候群に関連する卵胞刺激ホルモン(FSH)受容体の突然変異を明らかにしている.この例では,変異受容体が絨毛性ゴナドトロピンと甲状腺刺激ホルモンの両方に反応した.

    卵胞刺激ホルモン受容体の不適切な刺激が,卵巣過剰刺激症候群が発症する重要な要素である.

SPECIAL ARTICLE

  • 米国とカナダにおける医療の管理費
    Costs of Health Care Administration in the United States and Canada

    著者らは,米国の医療における管理費は国民 1 人当り約 1,000 ドルで,全医療費の 31%を占めると推定している.カナダにおける管理費のほうが少なく,概算で国民 1 人当り 300 ドル,全医療費の 17%である.

    この論文は 1991 年に同じ著者らが作成した医療における管理費の推定値を更新したものである.米国の管理費は全医療費の約 1/3 を占め,依然としてカナダよりもかなり多い.

HEALTH POLICY REPORT

  • カナダの医療制度
    Canada's Health Care System

    カナダの医療政策の最近の進展に関するこの総説では,Detsky と Naylor が 1990 年代に制度にかかった負担について述べている.これらは一般市民と医療従事者側の満足感を低下させ,医療改革についての国民的論議を引き起した.連邦政府と州政府間の 2003 年の合意は,医療に対する政府資金の大幅な増大を要求したが,組織,運営,資金調達に対する大きな変化の要求はなかった.

MEDICAL PROGRESS

  • 先天性副腎過形成
    Congenital Adrenal Hyperplasia

    先天性副腎過形成

    先天性副腎過形成は,副腎皮質でのコルチゾールの合成に必要な酵素の 1 つが欠損して生じる,常染色体劣性疾患群である.もっともよくみられるのはステロイド 21 水酸化酵素の欠損で,症例の 90%以上を占めている.この論文では,この疾患の分子機構,診断,および管理について述べており,遺伝子型と表現型の相関,遺伝子特異的な出生前診断,出生前治療など新たな進展について強調している.

CORRESPONDENCE