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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

March 4, 2004
Vol. 350 No. 10

ORIGINAL ARTICLE

  • 増殖性ループス腎炎に対する逐次療法
    Sequential Therapies for Proliferative Lupus Nephritis

    増殖性ループス腎炎に対する逐次療法

    シクロホスファミドによる長期療法は,増殖性ループス腎炎患者の腎機能の低下を防ぐが,毒性作用もかなりある.この試験では,ループス腎炎患者 59 例を対象に,導入療法(シクロホスファミドとコルチコステロイドの短期静脈内投与)後に行う,最長 3 年,年 4 回のシクロホスファミドの静脈内投与と,アザチオプリンの経口投与およびミコフェノール酸モフェチルの経口投与とを比較した.無病生存率は,シクロホスファミド群よりもミコフェノール酸モフェチル群(P=0.05)とアザチオプリン群(P=0.009)のほうが高かった.
    増殖性ループス腎炎患者において,導入療法後に行うミコフェノール酸モフェチルまたはアザチオプリンによる維持療法は,長期のシクロホスファミドの静脈内投与よりも有効かつ安全であると考えられる.

  • HIV に感染した男性における GB ウイルス C の持続感染と生存
    Persistent GB Virus C Infection and Survival in HIV-Infected Men

    ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とヒトに病原性を示さない GB ウイルス C(GBV-C)の重複感染者で生存期間が改善することは,先行研究において一貫して実証されてはいない.多施設共同 AIDS コホート研究に登録された HIV 感染男性 271 例を対象としたこの研究では,HIV 血清転換後 5~6 年間 GBV-C ウイルス血症をきたしていた男性は,GBV-C ウイルスに感染したことのない男性や GBV-C が消失した男性と比較して,生存率が高かった.
    GBV-C の持続感染は,HIV 疾患の進行の遅延と関連していると考えられる.

  • 閉経後女性におけるエストロゲン+プロゲスチンと大腸癌
    Estrogen plus Progestin and Colorectal Cancer in Postmenopausal Women

    女性健康イニシアチブ試験において,エストロゲン+プロゲスチン投与に無作為に割付けられた閉経後女性は,プラセボ投与に割付けられた女性よりも大腸癌のリスクが低いことが明らかになった.しかし,ホルモン群で認められた癌は,プラセボ群で認められた癌よりも病期が進行していた.
    この試験は,比較的短期間のエストロゲン+プロゲスチン投与によって,健常集団における大腸癌のリスクが減少することを明らかにしている.

  • 慢性閉塞性肺疾患における体格指数,気道閉塞,呼吸困難および運動能力指数
    The Body-Mass Index, Airflow Obstruction, Dyspnea, and Exercise Capacity Index in Patients with COPD

    慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者でみられる主な生理的異常は気道閉塞であるが,肺以外に現れる COPD の症状も死亡リスクの原因となる.この研究の著者らは,体格指数,1 秒量,6 分間の歩行距離および患者が感じる呼吸困難の程度に基づく新しい指数を考案した.
    今回の研究で検証された指数は,COPD 患者の死亡リスクを層別化する方法となる.

DRUG THERAPY

  • 薬物誘発性のトルサード・ド・ポワンツ
    Drug-Induced Torsade de Pointes

    市販医薬品の使用が中止または規制される単独の理由としてもっとも多いのは,致死的となる可能性のある病態である多形性心室頻拍,すなわちトルサード・ド・ポワンツ(torsade de pointes)に関連した QT 間隔の延長である.この総説では,薬物誘発性 QT 延長やトルサード・ド・ポワンツの分子的および臨床的な予測因子に関する現時点での知見を要約し,薬剤活性に関する新たな分子的予測因子を,医薬品開発プログラムや臨床診療にどのように組み入れるかについて論じている.この病態を引き起す疑いのある薬剤の一般的な取り扱い方が示されている.

MEDICAL PROGRESS

  • HIV 薬剤耐性
    HIV Drug Resistance

    HIV 薬剤耐性

    抗レトロウイルス薬の併用は,HIV 疾患の進行を抑制したり生存期間を延長させるうえで非常に有効であることが立証されているが,このような有益性は,薬剤耐性の発現によって損なわれる恐れがある.米国で抗レトロウイルス療法を受けている患者の約半数は,既存の抗レトロウイルス薬のうち,少なくとも 1 種類に対して耐性を示すウイルスに感染していると推定されている.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 頸部痛
    A Pain in the Neck

    それまで健康であった 16 歳の少女が,2 日間の咽頭痛,疲労,発熱,頭痛,嘔吐のために主治医を受診している.診察では,熱は 36.7℃であった.口蓋扁桃に軽度の紅斑と白斑,前頸部に軽度の圧痛がみられたが,リンパ節腫脹はみられなかった.